これは、ちょっとメモ。
se cambrer である。
『「ボヴァリー夫人」論』には、
いずれにあっても、エンマは甘美な充足感から思わず背をのばして椅子に坐りなおすのである。そして、その動作を示す「身をのけぞらせる」という動詞が、この二つの挿話において、「塵埃」という名詞、あるいは「ほこりっぽい」という形容詞と強い吸引力によって接しあっている。
とある。そして、「塵埃」に類する言葉として「砂」の文字も作品中に使われていることも指摘している。
したがって『伯爵夫人』に、
蓬子のちっぽけな足に手をそえ、こびりついた砂粒をはらってやろうとやや無理な姿勢をとらせて土踏まずにふっと息を吹きかけると、いきなりぷへーとうめいて全身をわななかせ
とあるのは、ほぼ必然の流れといえる。