1947年、ヘンリー・ハサウェイ監督。原題は、"13 Rue Madeleine"。


出演は、ジェームズ・キャグニー、アナベラ、リチャード・コンテ他。


アメリカ映画にアナベラが米国諜報員の役で出ている。1927 年のアベル・ガンスの『ナポレオン』でデビューし、ルネ・クレールの『ル・ミリオン』(1931)、『巴里祭』(1933)、ジュリアン・デュヴィヴィエの『地の果てを行く』(1935)、マルセル・カルネの『北ホテル』(1938)といった、過去の日本でも絶大の人気があった戦前の古き良きフランス映画の主演女優である。NHK の教育テレビで放映していた映画でも、この種のフランス映画をよくやっていた。アナベラはアラン・ドワン監督の『スエズ』で共演したことがきっかけで、タイロン・パワーと結婚して、ハリウッド映画に続けて4本出演している。この作品はその最後の作品で、彼女はこの後米国を離れ、フランスに戻ることになる。


この映画、第二次世界大戦のときにできたOSS  (Office of Strategy Service) と呼ばれる、いまの CIA の前身の組織についての映画である。戦争中、OSS のエージェントには、ジョン・フォード監督も含まれていたというのだから驚きである。ヘンリー・ハサウェイは、この時期「セミ・ドキュメンタリー」と称するドキュメンタリーのようなフィクションを作っており、この作品もその一本である。そういった興味から見たのであるが、ちょっと不思議な味わいのする映画である。なお、原題はルアーブルにあったゲシュタポのフランス本部の住所からきているそうである。


13 Rue Madeleine (YouTube)