1940年、キング・ヴィダー監督。原題は、”Comrade X"。


ルビッチの『ニノチカ』(1939) の大ヒットに気をよくしたMGMが二匹目の泥鰌を狙って翌年作ったのがこの反共コメディである。映画の最後は、ブルックリン・ドジャーズとシンシナティ・レッズの試合で、「レッズをやっつけろ」というのがオチである。この映画の製作当時、ドジャーズは、ラリー・マクフェイルによって球団再建が行われていたが、まだレッズが群を抜いて強かった時代である。また、MLBの試合が初めてテレビ中継されたのは、1939年のドジャーズ対レッズ戦である。


この映画で、へディ・ラマーとクラーク・ゲーブルは一体、何回キスをするんだろう。10回ぐらいまでは数えていたんだが、それを数えているのが馬鹿らしくなってやめてしまった。前も書いたと思うが、この映画のへディ・ラマーは、どこかしらヴィヴィアン・リーに似ていると思うのは間違いであり、ヴィヴィアン・リーの方がへディ・ラマーの髪の分け方やメイクの仕方なんかを真似したのである。それは、ヴィヴィアン・リーだけでなく、当時の女性たちに多く見られたということもすでに書いたと思う。なお、へディ・ラマーとクラーク・ゲーブルはヴァン・ダイク監督の『ブームタウン』(1940)で共演していて、本作で2度目であり、これ以降は、共演作はない。

この作品、『ニノチカ』と比べると、やはり、物足りないが、へディ・ラマーの作品としては、記憶に残るものだと思う。衣装はエイドリアン、美術はセドリック・ギボンズと、スタッフも同じみの名前がクレジットに見られる。


Trailer: Comrade X (YouTube)