Kurt Weill の奥さんだった、Lotte Lenya は、映画に何本か出演している。もっとも、見たのは、かなり年齢がいってからの『007 ロシアより愛をこめて』だけだが。YouTube を探してみたらあった。相手役はダニエラ・ビアンキである。確か Lenya は、スペクターで、ホテルの部屋かどこかで、撃たれて殺されてしまうんだったと思う。

Lotte Lenya ― From Russia With Love (YouTube)

二人の書簡集のタイトルである ”Speak Low (When You Speak Love)"は、Weill の別のポピュラーな曲である。せっかくだから、Lotte Lenya が英語で歌っている YouTube をとりあげよう。

Speak Low Sung by Lotte Lenya(YouTube)

この言葉は、某TV番組とはまったく無関係のシェークスピアの『恋のから騒ぎ (Much Ado About Nothing)』にある"Speak Low if you speak love." が出典である。米国のポピュラー音楽は懐が深いのである。歌詞は以下の通りで、いいかげんな訳もつけておくことにする。女の人が歌っているので、女言葉にした。

Speak low when you speak, love
囁いてちょうだい、愛を語るなら

Our summer day withers away too
soon, too soon
夏の日は色褪せる、あまりに早く

Speak low when you speak, love
囁いてちょうだい、愛を語るなら

Our moment is swift, like ships
adrift, we're swept apart, too
soon
時の流れは速いわ。すぐに別々に流される、
漂う船のように

Speak low when you speak, love
囁いてちょうだい、愛を語るなら

Love is spark, lost in the
dark too soon, too soon
愛は一瞬の火花、闇にすぐに吸い込まれる

I feel wherever I go that
tomorrow is
near, tomorrow is here and
always too soon
どこに行こうと、明日は近く、
明日はここ、いつも直ぐって感じる

(*)
Time is so old and love so brief
時間はとても長いけど、愛はとても短い

Love is pure gold and time a thieif
愛は純金で、時間はそれを奪うもの

We're late, darling, we're late
ねえ、もう遅いわ、遅いのよ

The curtain descends,
everything ends too soon, too soon
幕が下りるとすべてが終わるのよ、すぐに!

I  wait, darling, I wait
ねえ、じっと待っているから、

Will you speak low to me, speak
love to me and soon
囁いて頂戴、愛の言葉を、すぐに

(Repeat *)



注: 写真は、エヴァ・ガードナー。 ”One Touch of Venus" という映画で、彼女はこの曲を歌う。彼女はまだ20代である。もともとこの曲は、同名のブーロドウェイ・ミュージカルのために作曲されたものである。