
1943年、ローバート・スティーブンソン監督。原題は”Jane Eyre”。
ブロンテ三姉妹の長姉シャーロットによる『ジェーン・エア』の映画化。子供の頃、読んだ本で感動したのはこの『ジェーン・エア』と『秘密の花園』だった。もちろん、ブロンテ姉妹なんて知らずに読んでいた。エミリーの『嵐が丘』は、大人になってから読んだがこれももの凄くよかった。
有名な小説を原作とする映画は、大抵用心するのだが、この映画はそれなりに楽しめた。
ロバート・スティーブンソンはイギリス出身の監督で、初期はイーリング・スタジオで、マイケル・バルコンの下に働いていた経験がある。ディズニー映画の『メリー・ポピンズ』の監督であるというのが一番わかりやすいと思う。『メリー・ポピンズ』は、ちょっと前に公開された『ウォルト・ディズニーの約束』の中で、その一部を映画館のスクリーンで見ることができたと思う。ロバート・スティーブンソンは、『うっかり博士の大発明 フラバァ』(リメイク版ではなくてオリジナルの方)の監督でもあり、この作品は前にも書いたが、僕が生まれて初めて劇場で見た映画である。
ジョーン・フォンティーンはすでに『忘れじの面影』で紹介した。姉のオリビィア・デ・ハヴィランドは、『風と共に去りぬ』のメラニー役といえば、誰でも知っていると思う。二人とも日本生まれである。
また、オーソン・ウェルズはこのとき28歳である。彼の関係かどうかわからないが、映画音楽は、『市民ケーン』で映画音楽デビューしたバーナード・ハーマンであるし、脚本は、オルダス・ハックスレーと一緒にジョン・ハウスマンの名前もある。ジェーンの子供時代の意地悪な叔母の役はアグネス・ムーアヘッドだが『市民ケーン』が映画デビューだし、彼女は『偉大なるアンバーソン』にも出演している。
子供時代のジェーンは、『ブルックリン横丁』のペギー・アン・ガーナ-であり、学校の友達をエリザベス・テーラーが演じている。また、ジェーンが家庭教師で教える娘をマーガレット・オブライエンが演じている。マーガレット・オブライエンは、美空ひばりと『二人の瞳』で共演したことで有名である。また、ノン・クレジットで神話的な女優メイ・ウェストも出演しているはずだが、残念ながらほんの端役で画面ではよく確認できない。
特筆すべきは撮影と照明である。撮影監督はジョージ・バーンズである。『市民ケーン』のグレッグ・トーランドのパン・フォーカスは名高いが、そのグレッグ・トーランドは、ジョージ・バーンズについて撮影を学んだのである。この映画でも焦点深度が深く、陰影の強い照明を十分楽しむことができる。下の予告編は、まるで恐怖映画のような予告編であり、結構気に入っている。
Jane Eyre (Trailer)