1955年、ハワード・ホークス監督。原題は "Land of the Pharaohs"。

小学校から帰って(土曜日だったと思う)たまたまTVをつけたら、映画をやっていて何とはなしに見ていたら、だんだんその映画が面白くて面白くて眼が離せなくなった。そのタイトルも知らない映画のシーンをずっと覚えていて、その映画を始めからもう一度見たいと思って、こんなシーンがある映画はなんていうタイトルなのか人にも聞いてみたが誰も教えてくれない。学生になって山田宏一さんの本か、蓮實重彦さんの本か、はたまた古本屋で見つけたお二人の「エピステーメー」での対談だったのかもう覚えていないが、その映画がハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」であるとわかった。それで映画館でこの作品をノーカットでもう一度見たいと思ったらこれがやっていない。ようやく、浅草の映画館でフィルムがかかっているのを見つけて、1日中映画館にいて三回続けて見た。フィルムは退色してしまっていて画質は全然よくなかったが、それでも、ようやく小学生以来の思いがかなってうれしかった。最近インターネットを見ていると、同じように子供の頃 TVでホークスの映画をたまたま見て、映画の面白さに引きずり込まれたと書いている人が結構いるので驚いている。

この『ピラミッド』も学生時代、池袋の文芸座だったと思うが一回かかったことがあって、それを見てその面白さにぞくぞくした(確かマイク・ニューエル監督の『ピラミッド』と2本立てだった?)。ジョーン・コリンズなら本当に騙されてもいいと素直に思ったことを覚えている。ゴダールが『女は女である』のヒロインに最初アンナ・カリーナでなく、ジョーン・コリンズを希望していたというのもすごく気持ちがわかる。

この映画 DVD が出るまでこんなに待たされるとは思わなかった。DVD が出て本当に嬉しかった作品である。最後の圧巻のシーンが YouTube にある(ここ)。もちろん、CGなんか一切なしのピラミッドの仕掛けも驚嘆するが、本当のところ最後のジョーン・コリンズの ”I don't wanna die." という台詞のところなんか、いま見てもゾクゾクする。しかし、最初から見ることをお勧めする。だいたい、この YouTubeタイトル、 ”Indiana Jones Style” なんて書いてあって、どういう神経なのか疑う。いうまでもないが、どう考えてもハワード・ホークスに狂っているとしか思えないスピルバーグが「インディアナ・ジョーンズ」でこの作品を引用したのである。