厭だ。
今日も雨。意味もなく気が滅入る。
体中からやる気も覇気も奪われてく気がする。
こんな日に読んだら、シンクロし過ぎちゃってどうにもいけない。
というわけで、
厭な小説 京極夏彦
そりゃあね、迷った って結局読んじゃうでしょう。
「知りませんからね 読んで後悔しても」
なんて挑発されては。
7つの短編から成るアンソロジー。
「厭だ」で始まり、あらゆる厭を詰め込んで、どこにも行かずに厭なまま終わる。
「厭」のオンパレード。「厭」のループ。「厭」のテーマパークとでも申しましょうか。
厭を突き詰めて最上(?)のエンターテイメントの形にまで昇華させてくれました。
文字通りの「どん引きエンターテイメント」。
何しろ、読み始めたはいいけど、一旦本を閉じてしまうと、
再び開くのをためらってしまって、読了までに数日を要してしまったという。
ありえないストーリー展開ではありながら、
その中で事細かに描写される嫌悪感や不快感や恐怖や妄執や、
そういう人の心の中のマイナスの感情が本当にリアルなものなので、
つい引き込まれてしまいます。
あるいは、狂気や不条理の世界へと誘われつつある人の心のありようは、
こんな感じなのかも知れません。
読んでて改めて思ったけど、この人の文体はやはりいい。
簡潔で、リズミカルで、ときにユーモラスなところもあって。
(「厭な彼女」なんかは、もう、いや過ぎてわけがわからな過ぎて怖過ぎて笑っちゃいました)
読み終えてしまえば、「やっぱ京極夏彦いいわ」に落ち着くという、
なんとも不思議な読書体験をさせていただきました。