病院の一生
病院の一生 人をはじめとするすべての生きとし生けるものは、必ず最期を迎えます。銀河や太陽は言うまでもなく会社、病院もその限りではありません。 ここでは「病院」にテーマを絞ってお話していきましょう。 かつて高度経済成長期、民間及び公共の病院の病床数増加の政策の下、申請すれば病床が手に入る時代がありました。ここで言う病院は200床ないし20床以上の中小個人病院のことです。 さすがに令和の現代は「増床」は基本的に認められませんが、例外的に認めれられる場合があります。(ここではその内容は割愛させていただきます) 繰り返しますがかつての高度経済成長期、病院でも診療所でも希望すればするだけの数の病床を得ることができる、そんな時代がありました。 ある診療所は、19床を得て有料診療所へ、資金や組織力のある病院は690床得て巨大病院となりました。病床は医療の収入源であって診療報酬も高く、国民皆保険のもと「病院にいけばなんとかなる。」、「病院に入院すればずっと安心。」という神話もこの時代にできたものでしょう。 そんな時代が進み1980年代、医療費はうなぎ登りとなり皮肉にも国庫を圧迫するようになりますが、さらにその背景で国民は医療の恩恵を受け日本は世界一の長寿国となります。 自分で自分の国を締めることになった我が国は、1990年代になると遂に医療費削減に舵を切ります。そしてその状況が現在に至っているのです。 令和の現代、中小病院や有床診療所の増床時の創立者は世代が変わり、国策の変更も相まって病院などの収益や経営は息づまりを見せています。 特記すべき問題は、このままでは、ほとんどの有床診療所の病床は稼働することなくせっかくのベッドは埃をかぶり眠ってしまうということです。 100床クラスの中小病院は息子へ代変わりするかまたは閉院し、かつての繁栄を失い、急性期病院や専門性の高い病院からの転院先として慢性期患者を受け入れることで細々と経営をしています。 ここで注目したいのが中小病院の後継者です。生物の本能のなせる業か後継者(医師でなければならない)を世襲で選ぶ病院経営者が多くあり、その病院組織は老いさらばへて膿がたまっている場合が多い。 赤字経営でも過去の資産を切り崩し、何とか経営している現状のなんと多いことか。理由として分かりやすいのが、コロナを初めとする疾病の構造変化や診療報酬の改正など、社会情勢の変化についていけない経営者が多い。 断っておくが私が話しをしているのは一般的に個人経営の中小病院から有床診療所であり、公立や大学附属病院など数百床の病院のことではない。後者はおいおい述べていきたいと思う。 こうして経営難から、または経営者の子供たちが後継者とならず勤務医として一生を終え、中小病院から有床診療所は数を減らし、場合によってはM&Aによる併合吸収される場合もあります。 アメリカに比べ日本は中小病院が病院の約半数を占め(アメリカは2割)競争原理が働かない体質というのも病院の最後の姿を目の当たりにする一因でしょう。「地域医療構想」の本当のねらい「地域医療構想」と聞きなれない言葉が出てきました。難しいことではありません。 厚労省のHPやいろいろな本を読んでみると「将来2025年、必要ない病床は無くして医療費を削減しよう」ということです。詳しく説明すると各医療圏(都道府県をいくつかに分割した)でそれぞれの病院に2025年以降、将来どんな病院を目指すか必ず4つのうちから選びなさいということです。その4つを羅列します。①高度急性期②急性期③回復期④慢性期 この4つは各都道府県の人口構造や医療資源により計算されたものですが各医療圏は①②の急性期が足りないだとか、③回復期が足りないなどと各々が把握して理想の病床数にあわせつつあります。ただ、大病院が多くある地域の場合は①②は役割はできるでしょうが、中小病院が多く人口の少ない高齢化の進んだ医療圏は助かる人達の命が失われることも考えられます。(実際にそのような例は起きています) また、もう1つの地域医療構想の目的(こちらは露骨)は「休眠している病床は国が買います」と言い切っていることです。病棟の売買はしてはいけません!!と言っている当の本人である国が買い取るなんて少しおかしいですよね!?ちなみにお値段はというと稼働率からすると20万から200万/床でした(厚労省資料)。 大病院・中小病院のほとんどは休眠病床を数百床もっており徐々に国に売却されています。 つまり、地域医療構想は「少ない病床を効率よく使おうね!」ということではなく病床の削減、ましてや医療費の削減だったのです。初めにお話しした病院のM&Aや事業承継の難易度が高くなったのです。 大都市圏ではすべての病床区分は必要数確保されていますが過疎化が進む地方はどうでしょう。地域包括ケアシステムは生まれ育ったところで安心して一生を過ごすのが立て前でしたが、地域医療構想は都市部ではともかく地方では成立しないのです。 4つの病床区分は必要数で揃える、そして足りない病床は各医療圏で2025年を目標として揃えていきましょうというのがこれまでのまとめでした。 そしてさらに重要な病院M&Aが今までと異なった点を述べましょう。舌を噛みそうな会議迷惑「医療機能分化連携推進部会」(以下調整会議といいます)、この会議の名目は病棟区分・病棟を確保するのが目的ですが、実はM&Aを妨害するイベントです。参加者は県の関係職員、名医師長、薬剤師会長などなど… 私の出席した会議は病院の合併増床案件でしたが、某医師会長より暴言を吐かれ、会議は紛糾し最後の話まで聞くに耐えないものでした。(ちなみに案件自体は全会一致で可決されるそうです) まとめると「調整会議」は医師会主導のものであり、合併・併合を嫌う医師会にとって本来の名目である病床区分よりも「出る杭を打つ場」となってしまっているのです。 しかしこれで病院のM&Aができなくなったわけではありません。以下、病院や有床診療所のM&Aのコツを伝授いたしましょう。今まで通りではダメ!!「調整会議を踏まえた」病院M&A 当医療事業センターは2014年発足以来100件以上の事業継承・病院統合を行ってきました。もちろん2020年からは調整会議開始後も数多くのノウハウがあります。数多くの依頼者様から、「M&Aにより我が病院の弱い部分が補強できて、新規の患者開拓でき収益好調です」「私も歳で病院経営を辞めようかと思っていたが、退職金を貰い悠々自適の生活をしています」など、嬉しい声を頂いております。 経営者の皆さん、私も中小病院経営者の一人として将来に不安を抱え日々過ごしております。・この先の経営が心配・後継者はどうしよう・病院職員の補強がしたい・診療報酬改定について行っているのだろうか・わが病院の組織の人員配置は適正かなど心配事はありませんか?【著者紹介】村崎 京(むらさき けい) 昨今の、複雑で変わり続ける医療介護行政の中、実際の医療の世界で経営学を学び、医療法人での病院や診療所、介護事業を経営。その後その経験を活かしコンサルタント業に転身。 これまで病院、診療所の経営危機を救うべくM&Aや病院改革を行い、瀕死の病院に生命を注ぎ込んだこと数知れず。調整会議のコーディネイトを行い、多くの経営者から「病院再建請負人」と呼ばれている。 村崎事業承継センター 救急科専門医 所長 村崎 京 性別男性 血液型B【当法人の事業の概要】某地方都市にて10年前に狭い診療所から出発。固定の患者が付いていた訳でもなく、その地域でぽつりと開業したいわゆる「パラシュート開業」だった。着実に患者を増やして規模を拡大、病院の合併、有床診療所の合併を経て10年後の現在では①センター病院 緩和ケア20床、 地域包括ケア病院19床 (コロナ病棟8床)②地域包括ケア病棟/病院 48床③定期巡回訪問介護看護事業所④居宅介護支援事業所⑤住宅型有料ホーム5棟(全232床)⑥通所リハビリテーション事業 1ヶ所⑦通所介護事業 3ヵ所⑧訪問看護ステーション2ヵ所訪問診療者数600人 職員数500人 となる。