【ぎょうこしゅんぼく】
人の善言は広く聞き入れるべきである。

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プロ野球もいよいよ大詰めを迎えた。

既に順位が確定し、ストーブリーグに突入したチームもあるが、日本シリーズを目指せるチームは、まだまだ熱い戦いを繰り広げている。

私が応援しているチームは、ここ数年優勝を逃しながらも、何とか毎年CS(クライマックスシリーズ)に残っており、こんな時期でもスタンドには多くのファンが詰め掛けている。私も同様に一人のファンとして、精一杯応援しなければならないのだが、どうしても盛り上がれない。

CSは、3位までのチームに日本一の機会を与えることで、消化試合を減らし、より多くの収入を得ることが目的で導入された……と思われる。この目論見は見事的中し、興行的には成功を収めている。

しかし、2位のチームも3位のチームも所詮は敗者である。日本で一番強いチームを決定する筈の「日本シリーズ」の場に、そんな負け犬は相応しくない。ここは一つ、プレーオフの方式を変えてみて、そのわだかまりを解消してもらえないだろうか。

変更例を挙げてみよう。

一つは、過去に行われていた前期・後期制度。従来より短い期間で勝負する為、大きなゲーム差がつきにくく、また、消化試合を減らすことができる。

もう一つは、メジャーリーグで採用されている地区別リーグ制度。一つのチームだけが大きく勝ち越しても、もう一方の地区での争いは残っており、やはり消化試合を減らすことができる。

どちらも興行的な問題は見当たらないし、何より、優勝・勝者の証を持ち、胸を張って日本シリーズに臨める。少なくとも、現CSの問題点を解消できるのではないだろうか。

制度を変えることは容易ではないだろう。しかし、せめてこんな声に耳を傾ける仕組みを構築してくれれば、プロ野球界のお偉方を見直してあげるのだが。
【たいぎゅうだんきん】
愚かな人に深遠な道理を説いて聞かせること。何の効果もなく無駄なこと。

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先日、電車の中で2才ぐらいの男児が座席の上ではしゃいでいた。

少々騒がしいだけなら何も言うことはないのだが、徐々にエスカレートしてしまった彼は、靴を履いたまま座席の上に立ち上がるという暴挙に出た。もちろん親は横にいるので、当然何とかするかと思っていたのだが、なぜかそのままニコニコと愛息子を眺めている。

残念ながら、こちらは少し離れたところに座っており、冷ややかな視線を送るだけに止めていたのだが、ちょうど同じ駅で下車したので、軽く注意をして差し上げた。

するとその母親、こちらには目もくれず、横で父親に抱かれている息子に向かって、
「ゆ~く~ん、今度から電車に乗るときはお靴ぬごうね~。色々言ってくる変な人もいるからね~。」
と言い放ち、そのままコンビニへ駆け込んでいった。

どうもあの母親は、「公共物を汚してはいけません」という当たり前の道理を理解できていないらしい。そして子供への躾も、「よそ様に迷惑をかけてはいけません」ではなく、「うるさい人間に気をつけろ」という思想のようである。

そんな人間が子孫を残せる社会……もう、笑うしかないのだろうか。
【いはつそうでん】
教法や奥義を伝え継承すること。

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電話応対時の「折り返します。」と言えば、かかってきた電話に対して、担当者が不在だった場合に、不在だった側の人間が発する言葉である……と思っていた。

ところが最近、自分からかけてきているにも関わらず、「山本さんは不在ですか?ではまた折り返します。」などとのたまう輩が存在する。それも一人や二人ではない。

ひょっとして自分が間違えているのかと思い広辞苑を開いてみたが、“折り返す─来た方へもどす。引き返す。”とある。やはり、電話をかけてきた方にかかってきた方から電話をすることこそ“折り返し”であって、かけてきた方がかけなおすことではない。

彼らは一体なぜ、そんな表現を使うようになったのだろうか。

社会人としてのマナーは、研修などの機会を設けて教育される場合もあれば、他者のやりとりを見聞きし少しずつ学んでいく場合など、方法は様々だろうが、多くは先輩から後輩への伝承である。

「不在ですか?折り返します。」がまかり通っているような会社の先輩は、やはり「不在ですか?折り返します。」を使うのだろう。そして、それを学んだ後輩たちが、その後輩たちに伝染させ、そのまた後輩たちも同じく……こうしてまた、ちょっと恥ずかしい人間が増えてしまうのである。

こんなアホみたいな間違いを犯す彼らの行く末を、案じずにはいられない。