ブログ3では、人は色々な方法で学ぶ―
単に本を読んで学ぶだけではなく、
視覚、聴覚、身体感覚などの五感をフルに使って学ぶ―
というお話をしました。
そこで今回は、この発想を具体的にどのように
英語の授業で実現しているか、についてお話しします。
いきなり結論から申し上げると、
私は、英語の授業に”音楽(歌)”を取り入れて、
生徒の学びの意欲と、習熟度アップの効果を高めています。
では音楽(歌)はなぜ英語の学習に効果があるのでしょうか?
その裏付けには3つのポイントがあります。それは
1.歌を単なる音声教材としてでなく、五感ー視覚(V)、聴覚(A)、身体感覚(K)
のすべてに働きかける題材として活用していること
2.生徒の”学びたい題材”の英語の歌を使うことで、
生徒の世界観を尊重した学びの場を作り出していること
3.生徒と同じ歌を聞く、同じ映画を共に見るという中で、
生徒との一体感、安心感、信頼感(NLPではラポール)を
築いていること
です。
もう少し詳しく説明します。
第一に、五感に働きかける学びが大切なのは、私たち自身が、
五感をすべて駆使して様々なものを学習してきたということです。
はじめて言葉を学んだ小さい子供の頃を思い出していただくと
実感がわくかと思います。
そこで歌をただの音声教材としてでなく、五感のすべてに
働きかけることができる大きな可能性をもった題材として
利用します。さらに歌には恋愛、人生などのテーマやスト―リーがあります。
ですから授業のなかで、生徒はそれぞれイメージを膨らませたり(視覚)、
感情(身体感覚)を体験することができます。
また、歌は聞く(聴覚)だけではなく、
ライブ映像を見る(視覚と身体感覚)こともできます。
授業中に見せる時間がなければ、家でYouTubeでも見られます。
このように、指導する側として私は、受講する生徒の五感に、
意識的に、積極的に学びを提供しています。
第二に、英語の歌を聞くことは生徒の希望から始めたことなので、
まさに”学びたい題材”です。授業の題材そのものが、
生徒の世界観を尊重したものになっています。
学びの場自体が、受講する生徒にとって、望んでいる世界観であれば、
おのずと能動的、積極的な学びの場を作っていることになります。
このことをNLP的な視点で言い換えると、
人はそれぞれ異なった世界観(これを「地図」と呼ぶ)を持っている、と捉えます。
生徒と先生の世界観が違うのは当然です。
生徒が興味を持つものを先生が尊重している、という態度は
生徒にも伝わります。つまり互いに異なる世界観を尊重するということが、
学びの質を高めているように感じています。
第三には、生徒とのよい関係を築くのに役立つことです。
一体感とでも言ったらいいでしょうか。
私たちは一体感を持つとき、その場では安心して、
自分の能力を十分に発揮できます。
つまり一体感の中で生徒は良質の学びを経験することができます。
NLPでは協力と信頼のある人間関係を「ラポール」と呼びます。
同じ歌を聞いたり、同じ映画を見たりすることは、先生と生徒の
ラポールを築く有効な方法のひとつです。
では具体的な進め方ー歌の授業での使い方をお話しします。
私は主に、歌の歌詞を聞きとって、シートに書き込む、
という穴埋め方式でやっています。生徒のやる気を維持するポイントは
聞き取りやすい歌を選ぶことです。
知っている単語が少ないときは、
あらかじめ選択肢をアルファベット順に並べて与えておきます。
工夫次第で誰でも楽しく参加できます。
選択肢があっても、全問正解すればそれなりの達成感が得られます。
(リスニングのレベルによって)必要であれば歌は2回聞かせます。
また、選ぶ歌は英語が聞き取りやすい、内容がわかりやすく、
できれば前向きなメッセージを含んでいること、などを基準に選びます。
原則として、現在ヒット中の曲よりも、
時がたっても名曲として残っているものを選んでいます。
歌の穴埋めは一見遊びのようですが、1年続けると、
8割くらいの学生が「英語のリスニングのレベルが上がった」と実感してくれます。
生徒の中には「YouTubeで毎回復習している。高校の時は
英語の復習をしたことはなく、僕にとっては画期的な出来事」、
「授業以外でも積極的に英語の歌を聞くようになった。時々聞き取れると
とてもうれしい」と言う人たちもいます。
このように歌を使うことで、生徒に自主的に英語を学ぼう
という意欲をかきたてるという利点もあるのです。
次は歌を使ってみた成果と、
ラポールについてもう少し書きたいと思っています。