うちには、天使がいます。177.プラチナアレルギー | うちには、天使がいます。

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ピアノ弾き語り落ちこぼれシンガー・うたうやまねこと、そのパートナーゆかさん、そして寄り目のみけねこメイさんの、命の記録です。




・登場人物
<ゆかさん>
やまねこの奥さん。2020年9月、卵巣がんにより永眠。
2018年4月初めに腫瘍が見つかり、月末にはトルソー症候群による脳梗塞を発症。
手足や会話に障害が出ながら、摘出手術を経て、
2018年9月には全6回の抗がん剤治療も完遂。
諸事情により、ふだんは実家で母と暮らしながら、歩行のリハビリを中心に、
手足のしびれや難聴、高次脳機能障害など、脳梗塞の後遺症や抗がん剤の副作用と闘いつつ、
週末はやまねことうちで過ごす、という生活をしていましたが、
2019年11月12日、ついに新居でやまねことの生活がスタートしたのもつかの間、
12月11日にはがんの再発を宣告されてしまいます。
<やまねこ>
ゆかさんの夫。
落ち着きがなく要領が悪く、おまけにコミュ障。
いまいち頼りないだんなさまですが、
たまにライブハウスでピアノを弾いて歌をうたっていたりします。
<メイさん>
17年前にへその緒つきで捨てられていたところをやまねこと出会い、
それからずっといっしょに暮していた、寄り目のみけねこ。
2018年12月29日、突然猫てんかんの発作を起こし
翌2019年1月9日早朝、病との闘いの末、永眠。


(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)


2020年6月16日、火曜日。
ゆかさんの抗がん剤治療の日が巡ってきました。
がん性腹膜炎としての再発以来、7回めになりますが、
ゲムシタビンが中止になり、カルボプラチン単体の治療になってからは2回めになります。

朝はいつものように、やまねこが車で病院に送りました。
検査の結果入院が本決まりになったら、入院用の荷物を届けにもういちど行くことになります。
検査のほうは順調に進んだようで、午後3時ころには、
「無事入院できたよ」と連絡がありました。
「数値は全体的によくなってて、炎症の数値もDダイマーも腫瘍マーカーも下がったよ。
でも、血小板が戻らなくなってて、ぎりぎりで、白血球も好中球も低め。
ヘモグロビンはおかげさまで、ひさしぶりに8を越えたよ。
でもやっぱり鉄剤はでました。
だけど手足のしびれや聴覚過敏の話をしたら、生活に支障もでてるし、
抗がん剤続ける許容?の範囲を超えてるので、続けるもやめるも私次第って言われて、
今回もどうする?って訊かれたから、やめたらどうなるんですか?って訊いたら、
『わからない』と。そりゃそうだよね。
迷ったけど急に決められないし、考えると頭パニックなるから、
今回は受けるつもりで来ちゃったし、とりあえず良くなってるみたいから、
やりますといいました。
あと三回くらいまでがんばってみようかな、と思います。
退院したらあらためて相談乗ってね」

そうか、抗がん剤の副作用、来るところまで来てしまっているのか。
やめたらどうなるのだろう?「わからない」たしかにその通りだけど、
要は副作用と天秤にかけて、ということなのだろうか。
「治療やめるのも勇気が必要だと思うけど、
もちろん決めるのはゆかさんなのだけど、いっしょに良く考えていきましょう」
当たり障りなく返信します。

夕方、仕事を終えてから、ゆかさんのまとめた荷物に忘れ物(ハンガーとか)を入れて、
病院に届けてその日が終わります。


翌朝9時ころ、ゆかさんからメールが入りました。
「今日はお水の点滴からはじまっています。
終わったら、吐き気止めとアレルギー止めの点滴をして、それから抗がん剤本番です。
10時半位からになりそうです。
ゆうべは9時に消灯したらこてんと寝てしまって、
夜中おトイレに2回くらい起きたけど、あとはぐっすりでした」

よかった。順調に始まったようだ。

ところが、15時過ぎに来たメールは、急を告げるものでした。
「今日は、途中まですごく順調だったのに、アレルギーでちゃった。
カルボプラチンの半分くらいで、急に喉がキューってなって、
手もまっ赤になってちくちくしだして、
初めてのときのパニック?と同じかな?とおもったけど、ねんのため看護師さんに言ったら、
はじめは酸素も熱も、血圧も正常だったけど、薬疹?みたいのもでてたらしく、
息も苦しくなってきて、数値も下がり始めたみたくて、
モニタと酸素吸入つけられてしまいました。
比較的軽かったみたいのでよかった。
アレルギーどめの点滴2本追加して、だいぶ楽になりました。
今お水も流してます。
あとで葛西先生もきてくれて、カルボプラチンって回数重ねるとアレルギーでやすくて、
7回めくらいがいちばん出やすくて重症化しやすいんだって。
なので、念のために酸素つけたのかも?
晩ごはんプリンだけたべて 今は落ち着いたので酸素外してます。
葛西先生が、やっぱり続けるのはむずかしいかもしれないから、
あらためてCT撮って考えましょうとのことです。
7月3日にCT入れてくれたけど、ねこさんも来られますか?
脳神経外科の長野先生も来てくれて、イーケプラは脳の傷あとのために続けましょう、
とのことです。とくに抗がん剤治療しめるときはやめるのはよくないらしいです」

プラチナアレルギー。
そういえば最初に抗がん剤治療始める前に、説明があった。
そのために、点滴はまず抗アレルギー剤から始まるはずなのに。
今までずっと大丈夫だったから、もう考えてもいなかった。

「ゆかさん、たいへんでしたね。でもなんとか状態が落ち着いたみたいでほっとしました。
今回のカルボプラチンは中止になってしまうのでしょうか。
せっかく良くなってきたのに残念な気がするけど、ベストな選択ができますように。
7/3は行けるように調整するよ」

「ねこさんありがとう!
今回は半分投与したところで、中止です。
CT撮って、今後どうするか検討みたいけど、
今回の入院中に続きすることはしないそうです。
まだちょっとだるいけど、今はだいじょうぶ。
ねんのため、まだ心電図と酸素のモニターつけられてます。
いっときすごく苦しくて怖かったけど、たいしたことなくて、良かった」

心配で飛んでいきたいところでしたが、
コロナがなければ飛んで行ったところでしたが、
ぐっと抑えて、ゆかさんと病院の人たちを信じるしかありませんでした。

抗がん剤治療は、今後どうなっていくのだろう?
いろいろな考えが頭をめぐりました。





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昨日、白楽NapでのLIVEも無事終わりました。
聴きに来てくださったみなさん、配信を見てくださったみなさん、
本当にありがとうございました。
次回のLIVEは、久しぶりの下北沢です。

2024.5.26(Sun)at下北沢ラグーナ
OPEN18:00/START18:30/CHARGE:\2,500(adv.)\3,000(door)+1D
☆やまねこの出演は5組中1組め、18:30からです。
 配信視聴はこちらから(\2,000)→
 https://twitcasting.tv/c:laguna_shimokita/shopcart/302591

日曜日の夜、早めの時間です。
ぜひ遊びにきてくださいね。