Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome 感想レポ目次
- 《「私たちの"P Cubed"」》"P Cubed" in Dome LOOKS①・ネタバレ無し
- 《Prologue》"P Cubed" in Dome LOOKS②
- 《Opera》"P Cubed" in Dome LOOKS③ ←今回の記事
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ドームツアーの初日、入場して一番最初に気付いたのは、センターステージがないことだった。
ドームという広大な会場に対してセンターステージを設けないのは如何なものかと思ったが、よく見るとアリーナブロックの通路の幅が大きく取られており、その通路の真ん中には黒いシートが敷かれている。
恐らくこれが何らかの形でセンターステージ代わりになるのだろうと思ったが、開演後に想像以上のムービングであったことは言うまでもない。
ステージ左横に伸びた通路に置かれていたモニュメント「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」、そして「12 13 14 15 16 17 18 19 20 21」がアツい。これは名古屋から配置されたもので、ナゴヤドームの会場に入ってとても驚いたし、名古屋から何かを変えるPerfumeの"気"が感じられた。
その他メインステージには、二枚の巨大で縦長のディスプレイが角度を手前につけて配置され、アルバム『P Cubed』に収録されている楽曲名がトラック番号と共に流れ続けていた。
ディスプレイは『FUTURE POP』を彷彿とさせる。
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Opera
影アナが入り、会場が暗くなる。大阪2日目以降は、BGMが大きくなる時間と照明が弱まる時間がより長くなっていた。会場を焦らし、熱をより高めるためだろう。
二枚の巨大なディスプレイに、図形を組み合わせた戦闘機のような映像が映る。画質は極めて鮮明で、遠い座席からでも細かいところまで鮮明に識別できる。。
そこへ「ナナナナナイロ」、「無限未来」、「TOKYO GIRL」など、ベストアルバム『P Cubed』に収録された楽曲は、MVと共に52曲目から順番に、断片的に、キーを変えて遡っていく。
そのタイムスリップは「Sweet Refrain」で助走を付け、正面左右の小画面には”Music by 中田ヤスタカ”の文字が映し出された(※大阪2日目から)。
BPMを保ちながら、タイムスリップは再始動する。
この曲目「Opera」で私が印象に残っているのは「MY COLOR」の「世界」と「ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ Everything you need to know, the voice…」。ハッキリと聴き取れるものもあれば、最後まで分からない曲もあり、なかなか楽しい。
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ベストアルバムをリリースするに際し話題になったのは、中田ヤスタカが既存曲全曲にリマスタリングを施すことだろう。
Perfumeが中田ヤスタカに対してリスペクトしていることは、インタビューやMCでの幾度もの発言から判明している。
逆に、中田ヤスタカからPerfumeに対して、公の場で直接的なメッセージが送られたのは片手で数えられるほどしかなく、それも2016年のスペースシャワーTVの番組でサプライズ登場したのが初だったと記憶している。
それ故か、中田ヤスタカがPerfumeの話題を出すことも多くはなく、黙々と楽曲を練って提供している。
……と思っていた。
しかし最近になって、Perfumeの活動の行く末をすべて読み、Perfumeを誰よりも想っていたのは、中田ヤスタカだったことに気付いた。
詳しくは別の機会に話したいが、「Perfumeが昔の楽曲を、敢えて今のPerfumeが歌う理由」がある。
それは、過去の楽曲には、まるで今のPerfumeを予言したかのような歌詞が多いこと。
今のPerfumeが当時の楽曲を歌うことで、歌詞に込められた本意が謎解きのように見えてくる、伏線のように回収される。それが出来るのが今のPerfumeだと私は思う。
中田ヤスタカは、Perfumeのストーリーを紡いできた確信犯だ。
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その楽曲達を、メジャーデビュー15周年のこのタイミングで、1曲1曲を閉じ込めて完成した「Opera」。中田ヤスタカは、どんな想いでこの「Opera」をつくっていたのだろう、とふと思う。
「Opera」は最後、「ポリリズム」と「チョコレイト・ディスコ」を繰り返し、ツアーロゴとタイトルを導き出す。
Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome。
結成20周年のドーム公演は、中田ヤスタカの詰め込んだ、中田ヤスタカによる"P Cubed"で幕を開けた。