P Cubed WORLD

Perfume初のベストアルバム『Perfume The Best "P Cubed"』が9月18日に発売された。
私も既にDISC3まで全曲を聴いたが、中田ヤスタカは本当に期待を裏切らないものをつくる。
 
ベストアルバム化されるということは、即ち既にアルバムに収録されている既存曲の、元のアルバムとしての世界観が一度壊されるということである。
アルバム1枚を通して一つの作品である、と中田ヤスタカに教えられてから、Perfumeのアルバムは1曲目から最後の曲まで、1枚を通すことで耳の底から楽しんできた。それで作り上げられた大きな世界観が壊されてしまうことを、私は懸念していた。
 
しかし中田ヤスタカは『アルバムは1枚を通して一つの作品である』という信念を、このベストアルバムでも見事に貫き通した。
 
50曲デジタルリマスタリングという奇行は、キックとベースの音量を上げ、更にPerfumeの声をより目立たせることが主に行なわれたようだ。
50曲に同じようなリマスタリングを施すことで、各曲ごとの年代や印象のバラツキが驚く程に減り、様々な年代の曲を聴いても(元々時代の違いを感じさせない楽曲たちではあるが)違和感を抱かないアルバムとなった。
 
またこのリマスタリングは、"中田ヤスタカが聴かせたいPerfume"を、より全面に押し出してきたように感じ取れる。低音と歌声を強調させることでライブに近い体感を与え、初めてPerfumeの楽曲をちゃんと聴く人達へ『Perfumeの曲は、全てがカッコイイ』というイメージを持たせたかったのではないか、と私は思っている。
 
こうしてこれまでのオリジナルアルバムと同じように、『"P Cubed"の世界観』は形づくられた。
 
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We are challenger

そのベストアルバムの中で一番最初に耳にする曲が新曲『Challenger』である。
 
いくつかのメディアで明らかにされたこの曲の制作背景は、ファンを、そしてPerfumeのメンバーを驚かせた。‎⁦以下ローリングストーンのインタビューから新曲『Challenger』について抜粋。
 
あ〜ちゃん:実は、Perfumeの初期のマネージャーが、この曲の原曲を耳にして、中田さんにプロデュースをお願いに行ったそうなんです。今まで全然知らなくて、今回中田さんから初めてそのエピソードを聞きました。「きっかけになった曲を、今、歌うっていうのはどう?」と言ってくださって。

のっち:15年以上一緒に歩んできて、今、それをPerfumeに手渡す中田さん。もう、グッときましたね。私たちに今、必要な言葉はコレなんだ! と、噛みしめて歌いたくなる曲です。
 
切っても切れない、というよりこのタッグ以外は有り得ないPerfumeと中田ヤスタカ。その2つを繋ぐ本当に最初のきっかけとなった楽曲を、15年以上の時が経った今、中田ヤスタカがPerfumeに宛てなおすという、エモいの一言では済まされない事態が発生したのだ。その楽曲こそが『Challenger』なのである。
 
随分昔の楽曲のアレンジということで、曲の構成や音はもちろん、意図的に声にエフェクトが強めに掛けられ、昔を彷彿とさせるようなアレンジとなっている。
 
歌詞は、現在のPerfumeから過去のPerfumeへの応援と願いを歌っている。
その中身は現在のPerfumeが過去のPerfumeに、
 
『あなた達がやっていること、目指していることは何も間違っていない。それを今の私達が証明することが出来ている。だから、その歩みを続けて!夢を見捨てないで!あなた達と私たちに奇跡を起こして!』
 
と、過去と現在、2つのPerfumeへの願いが込められ、さらにその成功が、3つ目のPerfume・即ち未来のPerfumeへ繋がる、という想いも込められている。
 
もう少し深く紐解いていく。
 
歌詞カードで区切られているごとに注目していくと、その区切られているところそれぞれで、とある時期を指しているようなニュアンスと、それに関する単語が使われている。
 
例えば1番Aメロの
 
 ずっと 願ってたって変わらない
 絶対なんて決められない
 きっと 考えもつかないことは
 誰も教えてくれない 
 
ここは「ワンルーム・ディスコ」から『⊿』辺りの、急なブレイク、そして周りの環境に着いていけない時期のPerfumeに焦点を当てていると私は感じる。
この時期にPerfumeを取り囲んだ想像もつかない多忙さ、そして刺された水。その悩み そのものをここでは感じた。『願ってた』という言葉も、考え過ぎかもしれないが、シングル『Dream Fighter』に収録され、代々木2daysライブ、そして直角二等辺三角形TOURで歌われた「願い」を連想させる。
直後の、
 
 心のモーター回して
 
でも精神面を連想させ、心を温かく奮い立たせる様子を描いている。
 
1番サビの『眩しい期待が…』はビラを配っていた頃の、悔しさと期待に溢れたPerfume。
2番Aメロの『We can't…』は思うようにいかず、改めて世界の厳しさを感じたCE北米ツアーのこと。
2番サビとラストのサビは、それら全ての経験を踏まえて、現在の無敵状態になったPerfumeの言葉である、などと私は感じている。
 
それ以外にも、『火花』『未来』『ボク』『キミ』『涙』など、これまでのPerfumeの楽曲を彷彿とさせる単語がいくつも散りばめられている。
 
しかし、今私が答えた時期はただの私の考え。
それぞれの歌詞を聴いて感じた時期は人によって違うだろうし、そこまで考えてなかった方も、今見直してみれば、私が挙げた時期とは違う時期のPerfumeを頭に思い浮かべられるだろう。
 
これは、どの時期のPerfumeを見ても、どんな時でも、Perfumeが変わらず挑戦者であることのなによりの証である。
アイドルとして異例のSUMMER SONIC出演、バックダンサーを付けない3人だけでの東京ドーム、日本のライブを出来るだけ海外にそのまま持っていき、日本のライブとの差をなくす、そして1時間ノンストップ、演出に特化したReframe。それまで試してなかったことへの挑戦をPerfumeは何度も何度も行ない、私たちが気付いてないようなところでも挑戦を続けていたに違いない。
 
ここで大事なことは、Perfumeは挑戦を繰り返していても、いい意味で、変わっているようで変わっていないという点だ。これはPerfumeのライブを見た時にひしひしと感じる。
 
演出や魅せ方を常に進化させてきたPerfumeなのに、私が10年前目にした独特の温かい、そしてなにより楽しいステージはいつ行っても、必ずそこにあるのだ。
 
Perfumeの3人が持つ"なにか"は5年前、10年前、15年前とずっと同じ。Perfumeは『変わっていくけど変わらない』という、極めて成し遂げるのが難しいことを必然的にやってきたのだ。
 
Perfumeがやり遂げて来た、『Perfume』という唯一無二の存在で居られる理由。その一つがこの『変わっていくけど変わらない』なのだ。
 
ただ立ち向かってきただけではなく、自分たちを、『Perfume』を大切にしながら進化を続け、挑戦を続けてきたPerfume。これこそが真の『Challenger』である、とヤスタカは説いたのではないか、ヤスタカからPerfumeへ向けての、Perfumeが挑戦者であり続けてきたことの"賞状"的な楽曲である、というのが、私の『Challenger』を聴いての感想である。
 
 We are challenger
 
この歌詞が強く、強く聴き手に染みる理由は、彼女達が真の挑戦者であるからに間違いない。
 
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Perfumeは、今日2019年9月21日から結成20年目、メジャーデビュー14周年目に突入する。
 
これからも止めない挑戦者は、変わらない挑戦者、日本の誇る挑戦者として、Perfumeとして、その歩みを続けていく。
 
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はい、恒例となって参りました。最近の私の沼を一方的にご紹介する宣伝タイムです。
 
まず以前もご紹介したnotall。メンバーが6人になり、よりパワフルさが増した最強のグループに成り上がっております。
元からのメンバーはもちろん、新メンバーのキャラも濃い濃い濃い。なによりもパフォーマンスが王道的に素晴らしく見やすいのでぜひ足を運んでみてください。
notall公式サイトにイベントスケジュールがまとめられています。
 
あとはCY8ERというグループ。DJのYunomiによるクラブミュージックとアイドルという強い個性がぶつかり合った最高のライブを提供しています。
YunomiはサマソニのKizuna AIの記事で書いた通り、Kizuna AIにも楽曲提供をしているのでKizuna AIのおたくワイは秒で沼りました。
フューチャーベース大好きおたくには堪らん楽曲。苺りなはむは中田ヤスタカの「White Cube」も歌っていることで知られてます。ぜひ一度聴いてみて欲しい!
 
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本日もご覧頂きありがとうございました。
 
Perfumeの勢いのままに、このブログも大更新していきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。