昨年来、慢性鼻副鼻腔炎と気管支拡張症を主徴とする先天性の慢性上下気道感染症の原因として、新たにWFDC2(HE4)という遺伝子の極めて稀な病的バリアントが報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38626355/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40114242/
線毛機能不全症候群や嚢胞性線維症よりもはるかに稀な病気になりますが、原因不明の若年性の気管支拡張症の原因として考えておくべき遺伝子がひとつ増えました。この遺伝子が作る分泌性のタンパク質は、最初、いくつかの癌のバイオマーカーとして知られていましたが、このタンパク質が欠乏していると、癌とは関わりなく、おそらく微生物に対する免疫防御能が保たれず、炎症が波及して、原因不明の気管支拡張症が発症するのであろうと考えられています。
線毛機能不全症候群のスクリーニング法として用いられる鼻腔の一酸化窒素量が同じように低下すること、ただし、CT画像では、むしろ嚢胞性線維症に類似して肺の上方の病変が特にひどく、次第に全肺に広がり、緑膿菌による慢性持続感染が見られ、肺機能も悪く、若い頃から気管支拡張症としてもかなり重症な部類に属すると報告されています。線毛機能不全症候群では、肺の中程から下の方に気管支拡張が強いのと対照的です。この病気は、線毛機能不全症候群などの病気を専門に遺伝学的に研究している医療機関であれば、研究の一環として対応可能ではないかと思われますが、昨年報告されたばかりなので、まだ国の援助などは得られていません。この病気では不足しているタンパク成分は、すでにはっきりしているため、将来的には補充療法が可能ではないかと考えられています。