ときどき「わたしは内臓逆位のないカルタゲナー症候群と診断された」というようなお話を伺います。私個人的には内外の文献に照らすと、この使い方はカルタゲナー症候群の定義に反していて誤用と考えていますが、試しに、


質問:内臓逆位のないカルタゲナー症候群はありますか?
と、今はやりの生成AIに投げてみると以下のような答えが得られます。


Perplexity:
カルタゲナー症候群は、内臓逆位を伴う線毛機能不全症候群の一種ですが、内臓逆位のない線毛機能不全症候群も存在します。カルタゲナー症候群は、線毛機能不全症候群の一部であり、以下の3つの主徴を特徴としています:内臓逆位、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症。したがって、内臓逆位のない線毛機能不全症候群は存在しますが、厳密には「カルタゲナー症候群」とは呼ばれません。カルタゲナー症候群は、線毛機能不全症候群の内臓逆位を伴うサブタイプとして定義されています。
ChatGPT3.5: 
内臓逆位のないカルタゲナー症候群は、一般的にはありません。カルタゲナー症候群は、主に以下の三つの特徴によって特定されます:
内臓逆位、気道上皮の異常、副鼻腔炎。これらの特徴が揃って初めてカルタゲナー症候群と診断されることが一般的です。内臓逆位がない場合、通常はカルタゲナー症候群とは診断されません。
Claude3.5:
カルタゲナー症候群は、原発性線毛機能不全症の一種で、通常は以下の3つの主要な特徴を持ちます:慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位。ご質問の「内臓逆位のないカルタゲナー症候群」についてですが、厳密な意味では、内臓逆位はカルタゲナー症候群の診断基準の一部です。カルタゲナー症候群と非常に類似した症状を持つが、内臓逆位を伴わない原発性線毛機能不全症の症例も報告されています。類似した臨床像を示す関連疾患として扱われることがあります。
Gemini(Google):
はい、内臓逆位のないカルタゲナー症候群は存在します。内臓逆位のないカルタゲナー症候群の患者さんは、典型的なカルタゲナー症候群の患者さんと同じ症状を経験しますが、内臓の位置は正常です。そのため、心臓病などの合併症のリスクは低くなります。
Copilot(Microsoft):
はい、内臓逆位のないカルタゲナー症候群も存在します。カルタゲナー症候群は、線毛機能不全症候群の一種で、通常は内臓逆位、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症の3つの症状が特徴です。しかし、すべての患者が内臓逆位を持つわけではありません。内臓逆位を伴わない場合でも、慢性副鼻腔炎や気管支拡張症などの症状が見られることがあります。

というわけで生成AIの間でも意見が分かれてしまいました。これは生成AIの日本語文章読解能力の未熟さと学習内容の違いからくるように思われます。この質問に関しては、Perplexityが最もていねいで正確な情報を提示していました。カルタゲナー症候群は、内臓逆位というとても目立つ徴候を備えていますが、胎生期の臓器の左右決定機構が少しずつ解明され、この病気の遺伝子診断法が確立し、内臓逆位のありなしはこの病気の本質ではないことがわかってくるまで、内臓逆位のない線毛機能不全症候群の診断はとても困難でしたので、やむを得ないことだったのかもしれません。しかし欧米では内臓逆位のある原発性線毛機能不全症というような言い方をすべきで、Kartagener’s syndrome(カルタゲナー症候群)という用語自体、混乱を招くので、避けるべきだと主張する研究者も最近、多いようです。