山本周五郎 さぶ を読了


才気走って喧嘩っ早い栄二

鈍くさいが優しく、栄二のことをとても大事に思っているさぶ

の2人を軸に話が進んでいく


栄二が濡れ衣を着せられて心が折れ、酒色に溺れて自暴自棄になった末、人足寄場に送られる

初めは濡れ衣の恨みと怒りで誰とも口をきかず、色々な人とぶつかるが、生き馬の目を抜くような世間から弾き出され、様々な事情を抱えながら、人足寄場で肩を寄せ合って生きている人達と徐々に打ち解けていく


栄二は、中盤まで濡れ衣についての復讐を強く思い続けている

終盤では、成長した栄二は復讐しても自分を支えてくれるさぶや寄場の人達に迷惑と心配をかけることになるからやめようと心境を変化させている


最後は犯人が自白してくるのだが、

人足寄場での経験を得られたことに感謝し、犯人にも感謝できるレベルになっている


先輩に以前教えてもらった、人に感謝できるような人、というのはこのレベルなのだろう


この変化は、栄二が完全に折れきらなかったからできたものであり、栄二が折れきらなかったのは、さぶが栄二のところに足繁く通って見舞ったからであり、周りの人たちも支えたからである


有難いことに、俺のことを大事にしてくれている人もいる

感謝である


日々しょうもないことが起きるが、喧嘩を売ってくるやつらは砥石にして(その砥石はもともと必要なものであるし)自分を研ぐのだ