新潟へ行くの巻 | ケニーのがらくた箱

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ヤー!
シンガーソングライティングトランスレーター / キイチエモンズのギタリストであるオバタケンのブログ!

新潟に行く。
それだけは決まってる。

せっかく関東に越してきたから、そのあたりへ旅行してみたかった。

今日の夜は予定がない。
特急は使わないから、今から出発すれば新潟に着くのは終電だ。
明日にする?
でも、いつでも出発できるはずなのに今夜ここにとどまって、
自分の部屋で眠りたいか。
いややな。

終電で着いて、ネカフェにでも泊まろう。
新潟駅周辺ならどうにかなりそう。

越後湯沢あたりに一泊したかったが、
あいにく、当日に宿を検索しても受付しているところがない。
(あるのはだいたい2名1室からのところだった。そもそも1名1室で受けているところが少ない。ネカフェもない)
前日チェックした時にはあったのだが、前日には決めることができなかったのだ。
基本的に無計画な旅だから、前日に決めてしまうと当日の自分に迷惑がかかってしまう。

普段使っているギターを持って行こうとして、やめた。
ミニギターを持って行こうとして、やめた。
ギタレレを持って行こうとして、やめた。
ギターが弾きたくなったら…と思ったが、そんなものは必要ないという結論に落ち着いた。
予定があいまいだから、荷物が負担になるのは目に見えているし、
音楽から離れたほうが、いつもと違ったことができるだろうと思った。

アプリの乗り換え案内を使って調べると、17時くらいに東京を出発すると
新潟に0時16分着だった。
一本前は14時発で21時着。
鈍行列車の旅ではよくあることだと分かってはいるが、
うせやん、うせやん、と調べてしまう。
ほんまやった。

14時はもう過ぎている。
でも大真面目に17時の電車に乗ってしまうと、
乗り継ぎに失敗できないし、トイレのない列車で便意を催したりしたらおしまいだ。
腹が減ったからと食べ物を買うこともできない。
新潟駅を目指して16時前に東京を出発。

書きこむと終わらないのでできるだけ淡々と書こう。

秋葉原~赤羽~高崎
NEWDAYSに2度入ったが、時刻表は売っていないと言われた。
そうなんや~
キオスクの方が店舗の大きさで言うと圧倒的に小さいが、時刻表があった。
長旅だと乗換案内を使うより時刻表を使った方が断然良い。
うせやん現象が起こることもなく、すぐに納得しやすい。
土日運休とか、その逆の便も結構あるということにも気付いた。

高崎~水上(みなかみ)
やっぱり越後湯沢とかで一泊したかったなぁ…
と思って調べても、やっぱりない。たっかいとこしかない。
目的ではなかった群馬県というところに抵抗はあるが、
水上に泊まるという手もあるのでは?
と思って調べたら、1件ゲストハウスがあった。

どうかなー水上に泊まりたいと思うかなぁ。
水上で乗り継ぎ時間が30分あったので、一旦下車することに決めた。
調べてみるとここで降りてもう一度乗って新潟へ行っても
運賃はさほど変わらなかった。

水上に着く。
お~いいかも。旅館がありそうな、山。
ゲストハウスに電話をする。
急ですみません、今水上駅なんですけど…。
「おーちょうどいいですね!! 今他のお客さんを温泉に送ったとこなんですよ!!
今から迎えに上がりますんで温泉行かれますか!!」
というわけでいきなり温泉に決定した。

露天風呂が、本当に自然の中にある雰囲気だった。
そりゃ秘湯みたいではないけど、
街中の銭湯の壁に囲まれた露天風呂とはわけが違った。

浴場を出ると、ミネラルウオーターが売っていた。
硫酸塩を多く含むのが珍しいという。
硬水の味がした。う~…

毎日飲んだら、どのくらいどうなるんかな。

そして車でゲストハウスへ。
駅から徒歩30分くらいのところにあって、バスは通っていない
テレビの電波は入らず、ラジオもどでかいアンテナでかろうじて聞けるほどだという。

晩酌会が始まった。
シルバーウィークも平日に入ったのもあって、
宿泊客は僕の他に2人しかいなかった。
中年と年配の男性。

オーナーが近所の酒蔵から取り寄せたという
7種類の「本物の」日本酒を少しずつ、頂いた。
「本物の」日本酒は、巷に出回っている日本酒の【2パーセント】にすぎず、
米の精製に【2~3日】もかかるということだ(通常は数十分くらい?)。

答えを教えられる前に、「どのくらいだと思いますか?」
と聞かれ、見当もつかなかったが、何となく、
【1パーセント?】【3日くらい?】と思ったので、
言わなくてよかった。
テレビだったら大失敗だ。

酒のことはよくわからないが、
確かにまじりっけのない味がした。
いわゆる居酒屋で飲む日本酒は、まろやかなものでもどこかツンとしていたのだなと思った。
知らんけどな。

「本物の」日本酒というのはどういうことかというと、
通常の米ではなく酒専用の、酒米を使っていて、味の調整に添加物を使っていないとか、
そういう説明だったと思う。

他の2人のお客さんは、さすが、他人の領域を侵さないことに慣れていた。
こういうところに泊まり慣れているのも理由のひとつだろう。
道中について、いろんな宿について、仕事について、酒について。
いろいろな話をしたが、余計な話はほとんどなかった。
僕も余計なことを言わないオッサンになりたい。

オーナーに、「『本物の』日本酒は次の日に全然残らないですよ!!」
と言われて寝た。

翌朝、「朝食ができましたよー!!」
(ほとんどすべてにエクスクラメーションマークが付いているのだ)

日本酒を飲んだことも忘れていた。
計350mlくらいは飲んだはずだが、寝起きのヤな感じがなかった。

朝食のとき、オーナーは群馬県について実にいろんなことを話してくれた。
一人でひっそりと泊まるのでいいのになあと初めは思っていたが、
実際にはこれでよかった。
ネットで調べるのと違って、自分の関心の埒外の話題が入ってくるし、
体験談は生き生きとしている。

8時半くらいに宿を後にして、噂の生どら焼きの店に向かう。
歩いて1時間くらいだ。
山奥なので、車か歩きしかない。

古いまま使われている旅館やホテルや家、
古いまま置き去りにされた旅館やホテルや家。
透き通った川の音。

噂の生どら焼きの店は定休日だった。
なんでやねん。
近くに道の駅があったので、憂さ晴らしをしに入った。
どら焼きは冷凍しかなかったので断念。
今ならドラえもんと対等に話ができるぞ、おれは。

気に入ったポストカードがあったので買った。
群馬在住のイラストレーターらしい。

そこから川沿いを歩いた。
与謝野晶子の詩碑や、ラフティングをしている人たちを眺めた。
駅の近くでは、僕が生まれる15年も前から展示されているSLがあった。
SLは今でもたまに走っているらしいが、タイミングが合わず見ることができなかった。

新潟に向かう予定だったが、9時台の電車はとっくに逃していた。
次は11時台くらいだったろう(オーナーもそう言っていた)
と思って11時台に合わせて駅に着いて、改めて調べたら13時台だった。
11時台は土日だけだ。
水上から新潟方面の電車は1日に5本しかない。

いきなり2時間暇になった。
役場で東京の美大生の作品が展示されているというので行ってみた。
役場は暇そうだった。でも間違いなく役に立っているのだ。
まったく最近の若者の絵はわからんなと思いつつ、
10点くらいの中に、2つ好きな絵を見つけた。

旅行で好きな絵に出会うってのもいいな。

駅周辺に戻って、「おっきりこみうどん」なるものを食べた。
キノコや山菜など、色んなものを切りっぱなしで放り込んで煮込んだうどんだ。
栄養のあるおいしい食事を簡単に作れるということで古くから食されてきたものであるらしい。
第一印象は「大戸屋!」だった。

僕の苦手なものも一緒に入っているのも魅力的だった。
キノコとか苦手だが本当は仲良くなりたい。
ほかには、ひき肉、カボチャ、人参、ネギ、かつお?、たまご、こんにゃく、ごぼう、魚のすり身など、
いっろいろ入ってた。
おいしかったよーこれは。

シルバーウィークのせいで、閉めている店が多かった。
あと、星が見られなかったのが残念だったが、
この辺はなんとなくわかったのでまたいつでも来れる。

13時台の新潟方面行きの電車に乗った。
電車は急斜面を登ることができないため、「ループ線」というものがある。
直線で行くはずのところを、ぐるっと一周、円を描いて距離を稼ぐ線路の引き方だ。
水上を出て2度ある。
でもこれがどちらもトンネルになっているので、ぐるっと感はよくわからない。
福井県の敦賀あたりにもあった。
ずいぶん前だったが、マップをGPSで追いながら確認したような気がする。

寝たり本を読んだり景色を眺めたりしてたらあっという間に長岡(新潟県)。

一旦降りて、ご当地のお菓子らしきものを食べる。
洋梨の何か。
洋梨が有名なんか~。ル レクチェ。
長岡も良い具合に開けているように見えた。
30分くらいしかなかったのでよくわからなかったけど、結構好きだった。

寝たり本を読んだり景色を眺めたりして、
ネカフェに泊まるかゲストハウスに泊まるか~調べながら迷ってたらあっという間に新潟。
17時半くらいに到着。

電車の行き先掲示板には吉田、内野、村上、新井…
人の名前にしか見えない。

まだ薄明るいし、日本海でも見に行くか! そしてネカフェにでも泊まろう。
と海側に出る。

おやや。これは普通に便利な街じゃないか。
見どころがわからん。
そういうのを自分で調べるのは億劫な性分だから、
やっぱ人に聞くのがいい。ゲストハウスに泊まろ。
しかも海、意外と遠い。
ゲストハウスに電話をかけ、今からどうですかと聞いたら全然いけた。
平日の旅行でよかった…。

チェックインして荷物を置いて、まず銭湯に行くことにした。
海は遠いから明日で良い。

なんとロッカーのない、昔ながら(なのか?)のセキュリティーゼロの銭湯だった。
棚もなく、自由に使える籠だけがあり、みんなそれに荷物を服を入れて床に置き去りにしている。

普通の湯舟と紫色の湯舟(なんかの薬草)があったが、普通の方は熱すぎて入れず。
たぶん水で埋めればいいんだろうが、その辺の習慣が僕にはまだよくわからない。
ベテランの人と銭湯に行くこともないし。
周りの人に聞けばいいんだろうな。そういうのがパブリックバスの醍醐味とか言われてそう。

一番遅く来て一番早く上がった。
みんなよくあんなに長く風呂に入れるよな。
僕だってあのでっかい湯舟に浸かったらぷはーってなりますけど、
そんな長く無理やわ。

そのあと、晩飯を求めてアーケードへ向かった。
ひやー閉まってる。

宿主がアーケードらへん行ったらご飯屋さんがあると教えてくれた。
自分は行かないから何時に閉まるとか知らないのだ。

前日のどら焼きと電車の時刻もそうだった。
あるということははっきり知っているが、いつ「ない」のかは案外知らない。
知らないという認識さえない。
だって地元すぎるんだもんね。

ここで吉野家入ったらアホやで、と思い、
仕方なく駅方面へ向かった(徒歩20分くらい)。
そうだ、名物の「へぎそば」を食べよう! 高っ!
庶民が食べるものではないのかも。仙台の牛タンみたいな。
腹減った…。
あのとき吉野家入らんとかアホやったんかも。
王将あるけど…。

せやせや、ラーメンならきっとご当地っぽい。
ラーメン屋はそれほど多くなかったが、個性的なラーメン屋をひとつ見つけることができた。
焼あご(トビウオ)でだしを取った塩ラーメン。
細めのちぢれ麺。
おいしかったー。これはまた行きたい。
新潟にしかないみたいだった。

20時すぎ。
さぁ、やることがない。笑
大自然の中でやることがないのとはわけが違う。
ここは20時には飲み屋以外のおおかたの店が閉まる、便利な街。
ネカフェに入ってなんとなく1時間ネットサーフィンしてしまう始末。
アイリッシュパブにでも入ってビールでも飲みながら読書でもするかなあと思ったが、
一人の客って、なかなかいないから入りにくい。
東京と違うわ。

帰って寝た。

やることなくて9時間くらい寝たよ。
8時半にチェックアウト。
オーナーのおじちゃんおばちゃんは素朴な笑顔でかわいかった。
1泊1900円やし素泊まりならオススメ。

今度こそ海行くか。
雨がパラパラしていたけど、まだ空は明るいので傘は買わないことにした。
やっぱり意外と遠い。
途中でパン屋があったので朝食においしいパンを買った。
うっかりコンビニで買わなくてよかった。

ただ、地図で見る限りもうこの先コンビニがない。
つまり傘を買うことができない。
ま、しょうがないね。

日本海はびっくりするほど穏やかだった。
風があまりなかったからかな。

うわ~日本海。
でも雨やー。
というのが正直な感想だった。
日本海を見ながら歩いておいしいパンを食べた。
水族館から中心街へ戻るバスが出ているらしかったので、
水族館まで歩いた。

途中、体操服を着たたくさんの中学生とすれ違った。
走っていたり歩いていたり。クロスカントリーか何か?
すれ違いざまに「コンニチハ」と言われている気がする。

それは気のせいではなかった。少なくとも先生はみんな「こんにちは~」と挨拶をしてくる。
そういう決まりなんだとわかってからは僕も返事をするようにした。
150人くらいとすれ違ったが、コンニチハを言った生徒は20人たらずだった。
いいやつに違いない。
でも無言のやつらも、きっと恥ずかしだけなんだよ。

雨の水族館には幼稚園児のグループがいて賑やかだった。
親子連れがそれを見て、うーん、どうする? と迷っていた。
今日は平日だから。
今日は平日なのに。

土産屋さんだけ見た。
オリジナルグッズでいいのがあったら欲しかったが、
惜しいところで落選!

バスは70分に1本だったが、ちょうど20分くらい待って来た。
観光ガイドに乗ってるような、循環バスだ。
運転手と地元の客が話していた。
いつもガラガラだし市がやってないととても続かんよ。そもそも新潟は見るところがないんだよ。
でもないと困りますからねえ、観光する人たちもいますしねえ。

少なくとも僕は今日ものすごく助かった。雨が強くなっていた。
でも確かに観光スポットとしての見どころは少ないような気がする。

市街地に戻り、昨日から気になっていた「漫画の家」を訪れた。
僕には意外なことだったのだが、
新潟は数多くの漫画家の出身地だというので、
漫画関係の施設がいくつかある。
(バカボン(出生地は旧満州)、パタリロ、怪物くん、奇面組など)

立ち読みもできて楽しかった。
新潟でここが一番楽しかった。
そこでたまたま読んだ「堀さんと宮内くん」という漫画が好きだった。
ツボだった。
ガンガンコミックスだった。
読んでたなぁガンガンとギャグ王。
ジャンプとかサンデー全然読んでなかった。
ギャグの種類が違うと思う。

その近くである絵描きのイラストの展示をやっているということで、
ギャラリーへ向かった。
そのポスターのイラストがなんとなく好きだった。
僕は自分の絵の好みをまだ、音楽のそれみたく的確に説明できない。

でもこの人の絵を見てちょっとわかった。
線が少ない絵が好きだと思ってたけど、正確には
「線が多くてもいいけど、あるべきであろう線がない絵」が好きなんだと思った
最小限(たとえ多くても)の線でも、無い部分はオーディエンスが無意識に補えるという不思議を感じたい。
文章も同じだ。

絵描きはすぐそこにある漫画・イラストの専門学校の学生さんだった。
架空のレトロな看板の缶バッジがあったので買った。
イラストも、現代っぽいけどなんとなくレトロだった。
中野さん。がんばれえ。

そのあと「とんかつ太郎」でタレかつ丼を食べた。
しょせん卵とじなしのかつ丼なんでしょ、と思ってたら大間違い。
肉の薄さ、衣の細かさ、たれの味がすべて初体験のものだった。
ご飯とカツしかないシンプルなB級グルメだが、
新潟米を使用しているため、新潟100%と言える。
これは新潟に来たときはぜひ食べてほしいですよ。

13時すぎ。
実はもっと日本の歴史系の観光スポットがあるにはあるが、
僕は歴史に疎いし、見だすと一日かかるので、
惜しいけど今回はすっ飛ばしてしまうことにした。
体力的にもそれくらいがちょうどいい。
今日帰ろう。

鈍行で帰ることも考えたが(電車は平気)、お土産で荷物が増えることも考慮して新幹線で帰ることにした。
まだ腹は減っていなかったが、あとで回転寿司に行きたかったので、駅前にあることだけ確認し、
土産物の下見をした。
人の少ない新潟駅の反対側に出て、喫茶店を探した。

平日の昼過ぎの喫茶店とかそりゃもうガッラガラで、
小さい店には入る気がしなかった(店主が席で新聞を読んでいる)。

大きめの「バグダッドカフェ」という店に入って、
予定外のすてきなスイーツを食べて小一時間本を読んだ。
バグダッド感は特になく、英語圏+欧州圏的な内装だった。
僕がバグダッドに関して無知なだけかもしれないけど。

「なんでバグダッドなんですが」と聞けばよかったな、
と、帰りに真っ青な外観を見ながら思った。

その後、ブックオフで静かに爆笑してから駅ビルの寿司屋に入った。
回転寿司だが、まだ夕方の4時なので客は少なく、ネタは何も回っていない。
ニギリストのオッサンに食いたいやつを注文するのだ。
ホウボウ、太刀魚、小肌とか、普段の回転寿司では食べられないものや、
新潟で取れたというやつを握ってもらった。
すっごいおいしかった。値は少し張るが、それには代えがたい。
非回転寿司やったらもーっとおいしいんやろうな。

お土産屋さん。
「大阪屋」という和菓子の店でお土産を買った。
「なんで大阪なんですか」って聞いたら、
初代が大阪で修行してから新潟で始めたからですよと教えてくれた。
バグダッドカフェも初代がバグダッドで修行したからだったりして。

新潟名物笹団子おいしかった。ファンになりました。
でも日持ちしないんです。

新幹線で帰る。
全車両?二階建てで驚いたが、1車両が短い。
山やから曲がりやすいように短くしてるんかいな?

愉快な旅だった。
できるだけ多くの人と会う旅にしたいとは思わないが、
できるだけ人と会う旅にしたいといつも思う。
人と話してわかることが好きだ。
現地の人であれ、他の旅行者であれ、3分とかでいい。
誰かと一緒に旅してるとなかなか難しいけど。

水上で突然スローに1泊してよかった。
新潟ではうまいもんが食べれてよかった。
ギターを持って行かなくてよかった。

よかったよかった。