相談内容
50代女性からの相談です。
「母の資産の整理をする中で、どうしようもないボロアパートがあり、何とかしたい...」
ご事情を聞くとこのような方でした。
・開業医をされていたお父様が20年前に亡くなってしまった。
・お父様は資産運用として、一棟のマンションとアパートをいくつか運用されていて、亡くなられてからは、お母様が引き継ぎ、ご自身で管理をしながら運用をおこなっていた。
・しかしながら、お母様も70代後半となり、自主管理は体力的に難しい状況。
・お母様はご相談者に引継ごうと思っているが、ご相談者も家庭があり、大家業をするのは限界があり、難しい不動産をどうしようかと考えているところ。
・借り入れには後ろ向きで、まだいくつかの不動産のローンもあるため、これ以上の借り入れはしたくない。
ざっとまとめますと、不動産投資の事業承継を行う中で、これまでお母様があまり手を付けずに酷い状態になっているアパートがあり、どうしたらいいのか?ただ、これ以上借金はしたくない...という相談でした。
不動産の概要
そのアパートの概要はこんな感じです。
・「西船橋」駅徒歩7分
・木造で築40年以上
・総戸数8戸でそのうち4戸が入居者あり(稼働率50%)
・地積70坪の角地
・残債はなし
・賃料は月額4万円×4戸=16万円(当時の実収入)
・入居者は70歳以上の高齢者ばかり
・空室の工事は行っていない状況
木造で築40年、稼働率50%、そして空室募集もできない状況となると、ご相談者が困る感覚が分かりますね。。。
弊社の分析
★着目点
①建物の劣化が激しい
建物のメンテナンスがしっかりと行われておらず、経年以上の劣化が確認されました。
もしきちんとしたリフォームを行うとしたら、建て替えに等しいくらいの金額が発生する可能性が高いと考えました。
②土地値がある
更地の場合、約7,000万円の価値がある土地と査定をしました。
一方で、現状のアパートとしての販売の場合は高く売れても4,000万円程度の査定となりました。
アパートとして売却する場合は、「収益還元法」という利回りでの考えとなります。
例えば、年間賃料収入が100万円、利回り10%だと買う人がいるはずと考えると、価格が100万円÷10%=1,000万円という考え方です。
そうなると満室だとしても月収32万円、年収約380万円からの逆算となると、このエリア、この築年数だと、どうしてもこれくらいの金額の査定しかできませんでした。
とにかく建物の劣化が酷く、持ち続けるのであれば建て替えをするしかない状態。
けれども借金はできない...そうなると、手放すしかない状況。
手放すのだとしたら、どうすれば一番資産価値の高い状況にできるのか?
このことに尽きる提案を行いました。
弊社からの提案
まず、無借金での解決方法は手放すということ。
手放す方法は大きく2つ。
「売却」するか「等価交換をして別不動産を手に入れるか」です。
「等価交換」は条件の一致が難しいため、「売却」の提案をすることとなりました。
それでは、「最大価値での売却」をどのようにするのか?
上記分析でも説明をした通り、今回のアパートは更地の価値が7,000万円あります。
それでいうと、更地での売却が一番高く売る方法でした。
ご相談者も更地での売却で動いてほしいとのご決断で、弊社にご依頼を頂きました。
プロジェクトの実行
更地での売却に向けて問題が1つ。
高齢の入居者様が4世帯いらっしゃるということです。
当然出て行ってもらわなければ更地にすることはできません。
ただ、ご相談者の要望は、これまで長い間居住してくださっている入居者様には極力ご迷惑をおかけしないことでした。
もちろん出て行ってもらうことは、精神的負担もおかけしてしまうものですし、特に高齢者の方ですので、生活環境が変わるのは非常に負担となると理解をしています。
その中で、近隣のアパート・マンションオーナー・管理会社に直接空室情報をあたり、なるべく生活環境を変えない場所に転居先を見つけ、お部屋の片付け、引っ越し、転居先オーナーとの契約、家族とのやり取りをできるだけ丁寧にサポートを行い、快くお引越しを頂けるようにとコミュニケーションを取らせていただきました。
皆さま、いわゆる「立ち退き」について、どのような印象をお持ちでしょうか?
中にはヤクザまがいな「出ていけ!」と脅すイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
私たちの現場ではそんなことはなく、入居者様とコミュニケーションをとりながら地道にご理解を頂けるように努めています。
そうでないとオーナーにご迷惑をお掛けしてしまいます。
私たちは不動産オーナーの伴走役ですので、オーナーの望む幸せのために知恵を出し行動をします。人の望む幸せは、なかなか他の人の不幸と引き換えに実現できるものではありません。
周りの方、今回で言うと入居者様の幸せも考えなければ、オーナーの幸せも実現できません。そんな考え方で、オーナーの伴走役を努めています。