◆レベルデザイナーとしての仕事 | ゲームデザインエクセレント

◆レベルデザイナーとしての仕事

 さて、話を少し戻します。


  先に挙げた第一原理「場面場面が面白くなければならない」ですが、これはどのように満たされ得るものでしょうか。作家が小説を書くときであれば、物書き的な要素によって満たすのが基本でしょう。しかし、ストーリー一般に拡げて考えた場合、それはたくさん取り得る回答のひとつに過ぎません。


  例えば漫画であれば、絵が良ければ1の条件は満たされます。あくまでも「良い」なので、必ずしも「上手い」でなければならないわけではありません。下手でも、魅力的ならいいのです。ただ、とりあえず見てもらえる度合い、そして「飽きる」までの余裕という面では、やはりうまい絵は有利です。アニメなら、これに加えて動きという要素もあるでしょう。かわいい女の子がかっこいいロボットに乗って派手な戦闘をしていれば、とりあえず観てもらえますね。


  ゲームの場合も同様です。キャラクターがリアルタイムに動くというただそれだけでも、さしあたってはだいじょうぶです。そして、キャラの見栄えが良かったり動きが気持ちよかったりすれば、そうでないものよりは有利です。設定だの必然性だのは、とりあえず関係ありません。「ありきたり」であることも、たいした問題ではありません。


 結局これは、第二原理「必ず飽きるから、対策が必要」にとっても同じです。プレイヤーは必ず退屈するわけですが、そのときに提供する"退屈退治"は、別にストーリー的な仕掛けである必要はないのです。ステージが変化するとか、モンスターの種類が変わるとか、自分自身に新しい技が出せるようになるとか、そういうことでも十分です。


  もちろん、これらはストーリー上の変化とフィックスする場合が多いでしょうが、必須ではありません。例えば、RPGにおけるキャラクターのレベルアップなど。ストーリーとは無関係で、また、簡素かつ本質的な退屈対策といえるでしょう。


 レベルデザインという仕事は、直接的にはマップに関するデザイン・レイアウトを中心とする仕事です。マップを作り、モンスターや各種仕掛けを配置(それを考えるという要素もしばしば含みます)していくということです。


  それが目的とするのは、プレイヤーの獲得するレベルのコントロールにあります。プレイヤーがゲームプレイにおいて持つ欲求はさまざまですが、それを「より高い能力になりたい」に落とし込んだ上で、それをコントロールしていくということです。欲求は、いちどに満たされてしまったのでは、面白くありません。そこで、段階的に充足させてあげることで、より高い満足感を、プレイヤーに与えることができるのです。

  ストーリー的な仕掛けというのも、それを補完していくための手札と考えることができます。ストーリーフローを作る場合、そうしたレベルデザイン段階での使いやすさも配慮していく必要があるでしょう。