◆ ユーザーインターフェイスを作る | ゲームデザインエクセレント

◆ ユーザーインターフェイスを作る

 ゲーム画面というものは、とにかく見続けられる存在です。現代のメジャータイトルは、百時間以上のプレイ時間が想定されていますが、この間ずっとプレイヤーは画面を見ています。『スターウォーズ』の全エピソードを通して見たってせいぜい13時間程度ですから、途方もない水準と言っていいでしょう。
  なぜ、こんなに長時間、見ていられるのでしょうか。絵としてスターウォーズの数倍優れているからではありません。それが、プレイヤーにとってゲーム世界に向けて開かれた唯一の窓口だからです。見ていないことにはゲームが続けられないから見ているのです。


 コンピュータでのユーザーによる入出力のあれこれを、「ユーザーインターフェイス」という言葉で呼びます。《*2》
入力の中心にあるデバイスは、ゲーム機の場合、キーパッド。数個のボタンと2本の方向スティックという組み合わせが、今日では基本でしょう。パソコンであればキーボードやマウスが、DSやiPhoneならタッチパネルが、これに該当します。プレイヤーは、これらのデバイスを通じて、システムに指示命令を伝えます。
一方、出力は、映像+サウンドです。振動などもありますが、補助的なものでしょう。実際のデバイスとしては、テレビなどの機器が用いられます。これらを通じて、システムから情報が与えられるのです。
入力と出力は、実際には一体的です。プレイヤーは出力を得つつそれを元に入力を行い、システムは入力をリアルタイムに処理して出力していきます。ゲームにおけるユーザーインターフェイスは、このような相互的なやりとりとして把握する必要があります。


 さて、ユーザーインターフェイスという視点からゲーム画面を考えれば、それが単なる絵でないことは、明白でしょう。
  画面上の構成要素には、しばしばなんらかの"ふるまい"があります。ボタンやアイコンが現れ、選択などを求められます。また、メイン画面上にもそれを操作することで何らかの入力ができるインタラクティブな構成要素(=コントロール)が配置されることがあります。そして、これらの結果、画面モードやプレイヤーの状態などが変化したりします。画面をデザインするということは、そうしたふるまいも含めてデザインするということなのです。
  もちろん、画面の中心的機能は、プレイヤーへのインフォメーションの提供です。世界の状態......自分がどんな場所にいて、そこがどうなっていて、どこにどんな敵がいるのかなどは、(ゲームの種類により具体的か抽象的かの違いはあるものの)第一には画面で示されますし、アイコンやサブウィンドウあるいは文字・数字の直接表示などによって、補助的に伝えられます。ただ、この場合も何をどう提示するのかはゲーム性に直結する問題で、絵としてかっこいいかどうかで決めているわけではありません。
  単に絵があればいいというだけなら、グラフィックス担当の仕事でしょう。一方、ソフトウェアのふるまいを実際に作るのは、プログラマの役割です。しかし、ユーザーインターフェイスのデザインという視点からこの作業を見ると、どちらとも違うと言わざるを得ません。
  本連載の最初の回で書いたように、<b>「誰の専門とも言い切れないが、誰かがやらなければならない仕事」を担当するのは、基本的に企画屋</b>です。ゆえに、ユーザーインターフェイスのデザインは、基本的にゲームデザイナーがしなければならないものなのです。