◆ ゲーム開発の4段階 | ゲームデザインエクセレント

◆ ゲーム開発の4段階

 では、実際にどのような仕事をしていくのでしょうか。これは、仕事の手順に沿って考えてみましょう。
  創作は、特定の手順を踏まなければできないというものではありませんが、個人の手作り的な作業でない限り、段階的な手順が必要です。ゲームの場合、大きな流れとして、「構想」→「企画」→「仕様」→「実装」という4段階となります。*2
  構想は、ゲームや商品性のあれこれを考えていく作業です。どんなゲームがおもしろいのか(+どういう人に、どのように)、いろいろと考えていくのです。日常の観察からおもしろさを見つけ出そうとする場合もありますし、今人気のあるものを分析していくこともあります。一方、技術や予算などの制約要因は、この段階では深く考えません。意識しすぎると発想が萎縮してしまうためです。
  企画は、もう一歩実際の商品を意識して具体的なゲームの形を考えていく作業です。単にソフトとしてどういうものにするのかだけではなく、工数、予算、市場なども含めて、どのような商品にするのかを考えます。
  仕様は、実際にどういうソフトとして作るのかを、詳細な点まで決めていく作業です。ソフトウェアとしての仕組みを決めていく要素も含まれますし、パラメータの種類や相互の関係といったゲームシステムの部分もあります。世界観やキャラクターの設定など、文芸・美術領域の作業も含むことになります。
  そして実装は、実際にコードを書いたりデータを作ったりしてソフトウェアとして現実化していく部分を指す言葉です。

 段階的な開発は、「進んだら、振り返らない」という意味でもあります。小説や漫画など個人制作の作品でもこういう意識付けは必要でしょう。それがないと、いつまでもあらすじだの設定だのをいじっているだけで肝心の作品を作らない、"永久志望者"になってしまいます。ただ、会社による開発の場合は、単に意識付けの問題ではありません。段階が進むことで、プロジェクトはより大規模化していきます。人や物が投入され、お金を使うようになっていくのです。後戻りしてしまうと、投じた資金が無駄になってしまいますね。そこでボスとしては、段階を進めてもいいものか判断をしなければなりません。これをゲームデザイナーの側からみれば、各段階でアウトプットを出し、そこで判断をしてもらって次へ進むということになるのです。

 構想の終わった段階で作るのが、提案書です。どんなゲームにするのか、どういう面白さを狙っていくのかということを、解りやすくまとめたものです。社内プロジェクトでは、直属の上司に見せることになります。そしてこれが一応の評価をうけた場合、本格的な企画を進めていくことが許されます。
  企画段階の目的は、それを通じてプロジェクト自体の許可を得ることにあります。会社にとっても、ここから先へ進めるかどうかは大きな経営上の決断となります。少なくとも、稼げる(最悪、赤字を出さない)という確信が必要なのです。そこで、ゲームデザイナーとしては、単にゲームの形を考えるだけではなく、これがどういう根拠に基づいてどの程度売れるのかといったことも含めて企画を詰めていく必要があります。そして企画段階で最終的に作る文書が、企画書です。ただ、作って提出すれば終わりということはなく、たいていはプレゼンテーションを伴います。つまり、決定権のある人に対して、直接訴えかけるわけです。
  そして、ここでOKが出た場合、プロジェクトには予算が付き、スタッフも集められ、実際に動き出すことになります。*3