◆ マーチャンダイジング | ゲームデザインエクセレント

◆ マーチャンダイジング

以上に加え、ゲームのプロデューサーに特に重要になる役割があるので、言及しておきます。「マーチャンダイジング」です。
通常クリエイターにとっては、ソフトウェアとしてターゲットマシン上で仕様どおりに動く状態になれば、それで完成です。しかし、商品としては、これはまだプロセスの途中に過ぎません。メディア(DVDなど)をプレスし、マニュアルなどと一緒にパッケージしなければならないのです。マーチャンダイジングとは、こうした領域の仕事のことです。
具体的には、資材の計画です。商品ができあがるために必要となる資材を手配していくということです。しかしより広くは、その戦略を立てるということを含みます。


 マーチャンダイジングはどんな分野にもあるのですが、内容は業種によってずいぶん違ってきます*4。ゲームの場合、かなりの部分がクリエイティビティを要するものになってきます。というのも、ポスターやパッケージなどで共通して使う絵=メインビジュアルや、タイトルロゴなどの判断を含むからです。
こうした判断の前に、そもそも全体のコンセプトをどう作るかという問題があります。さらに、4つのPで決定したこととの整合性も重要です。作品性によっては、あえて泥臭くかっこわるくデザインしなければならない場合もあるのです。自分自身が作るわけではありませんが、作られたもの(場合によっては作られつつあるもの)の善し悪しを見抜く目は必要になってきます。



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 マーチャンダイジングの役割は「できあがったソフトウェアを商品として販売可能な状態にする」ということですから、観念的にはソフト開発の後に発生する仕事ということになりますが、実際には完成してから始めていたのでは遅すぎるため、開発と並行して進めていくことになります。
 図は、プロデューサー視点から見たゲーム製作の流れです。
 マーチャンダイジングは、流れの上の方にある「資材計画」部分になりますが、実際には図全体に散らばっていることが解ると思います。右側にある二本の流れが営業と広報で、それぞれ仕事の段階でいろいろなものを必要とします。その必要なときに必要なものを用意することは、プロデューサーの責任なのです。
 ちなみに、いちばん左の流れが、開発チームの仕事。現場クリエイターにとっては世界の全てと引き替えにしてもいいほどの開発フローも、商品製作全体の中では、同時並行で進んでいる流れの中の一本にすぎません。また、彼らの仕事は、β版での修正が終わればマスターアップとなり、打ち上げに行ったりリフレッシュ休暇(実際には貯まった休日出勤の消化)をとったりできるわけですが、プロデューサーの仕事はまだまだ続くのです。