【注釈】 | ゲームデザインエクセレント

【注釈】

*1 : 十数人もの人間が十数ヶ月もの間それだけに取り組んで......
むろん小規模なゲームであれば「数人が数ヶ月」で済みますが、本質は変わりません。
年度ごとに発行される『CESAゲーム白書』で説明されているゲームビジネスの収支構造のモデルケースでは、累積投資額をそれぞれ次のように設定しています。
○ 家庭用ゲームソフトウェア 5億円
○ 携帯ゲームコンテンツ   2千3百万円
○ ネットワークゲーム     9億3千万円
※広告宣伝費や販売管理費・ユーザーサポート費などは除外
スモールとされる場合でも2千万超ということですから、「アルバイト代を貯めて」というわけには行かないのです。

*2 : コンシューマは玩具、PCゲームは情報機器......
 8ビット機の時代、コンシューマゲームの流通は玩具問屋が仕切っていました。特にファミコン/スーパーファミコンでは、任天堂と密接な関係を持つ一次問屋の親睦団体「初心会」の影響力が強く、ゲーム会社はここに加盟する十数社と個別に契約を結ぶ必要がありました。
 一方、同じ頃のパソコンゲームは、日本ソフトバンクを筆頭とするソフトウェアディストリビューターが扱っていました。書籍流通におけるトーハンや日販などの取次会社の立場を見習って作られていたもので、ここと契約することで、全国のパソコンソフト販売店に向けて発売することができたのです。
 これらの仕組みは、業界構造の再編が進んだことで大きく揺さぶられました。初心会は既に解散、ソフトウェアのディストリビューターも、現在ではもう原型をとどめていません。

*3 : ふさわしい作品性
 この問題も、実際には流動的です。
 例えば、美少女ゲーム。かつてはPCでなければならないと考えられていました。コンシューマは小学生など低年齢層が中心な上、マシン自体が居間のテレビにつながっているからです。両親の目の前でやりたいとは思わないでしょう。
 ところが『ときめきメモリアル』は、PS版の方がより大きなセールスを挙げました。
その時点では、もう事情が違っていたのです。
    ○ ゲームの主なプレイヤー層は、高校生かそれ以上に移っていた。
    ○ 特にその年代層では、自室にテレビを持つ場合が多く、
      「コンシューマ=居間」という構図が崩れていた。
    ○ メディアがCD-ROMになり、容量の問題がなくなった。
 これも今では『ラブプラス』に見られるように、新たな展開を見せています。ときメモの頃の高校生や大学生も既に社会人。場合によっては家族持ちです。自宅で妻子の前でやりたいとは思わないから、外に持ち出して......ということでしょうか。
 ともあれ、どんなことでも教条化してはいけないということです。


*4 : 実際の市場がかなり小さい
 ここでは日本の場合に限定して記述しました。本文でははっきりと書かなかったのですが、日本独自のゲーム領域として"対象年齢を大人に限定した美少女ゲーム"というものがあり、国内のPCゲームはこれを中心にしているのです。
 世界的視野で考えた場合、既にPCゲームは単独の市場とは言えなくなっているかも知れません。コンシューマゲームと平行して開発され、同時期に市場に並ぶ場合が多いからです。いわば、プラットフォームのひとつとして「PS3」や「XBOX360」と同等の並びと言えるでしょう。
  結局大きく異なるのは流通だけということですが、これも日本独自の問題ですね。

*5 : ゲームならではの独自のノウハウ
 例えばファミコンの場合、画面は256×224ドットで、使える色も50色(同時には16色)というスペックでした。フォントは半角英文字しか搭載されていず、サウンドもリズムを含めて4音まで。こういう中で、グラフィックスを作り、メッセージを書き(ひらがなのみで、せいぜい18文字×3行です)、楽曲や効果音を鳴らさなければならなかったわけで、他では使えない独自ノウハウを蓄積せざるを得なかったのです。
 なお、PCの場合、同時期にWindowsへの転換があったのですが、少し遅れてゲームのための追加環境である『DirectX』が登場、これによってゲーム開発が標準化されたということがあります(これは後の『X-BOX』に繋がる流れでもあります)。