◆ 註 | ゲームデザインエクセレント

◆ 註

*1:ハドソンの児童書
 株式会社ハドソンは、当時はPCエンジンの開発元として多数のタイトルを手がけていて、メディアへの露出も玩具メーカーと肩を並べるほどの高い水準でした。出版もそうした流れのもので、こんにちよくあるような「ゲーム会社が自ら作る攻略本」とは、次元が異なっていたのです。
 ただ、肝心の本については、なにぶん昔のことなので、正確な書名などが思い出せません。内容も含め、思い違いが入り込んでいるかもしれませんが、ご容赦ください。


*2:生活と芸術の統一
 これは、英国のウィリアム・モリスの言葉です。モリスによって始められた「アーツ&クラフツ運動」が、より広い芸術運動「アールヌーボー」「アールデコ」に拡がりました。これはフランスを中心とした展開でしたが、運動は新興工業国だったドイツに伝わり、画期的なデザイン学校「バウハウス」の開設を通じて、建築までも含めたモダンデザインが確立しました。やがてナチスドイツによる迫害が始まると(ヒトラーは現代芸術が嫌いだったのです)、彼らの多くはアメリカに亡命します。そして、その地で大量生産や商業主義と融合した結果、デザインはこんにちあるような姿になったのです。
 モリスの運動は、実際には手工芸への回帰という形をとったため、コンセプトに賛同したとしても、結局裕福な層だけしか手にすることはできませんでした。その意味で、私たちの生活にまで浸透する大衆化には、モダンデザイン以降の流れが重要です。これは、デザインというものが産業との関わりを抜きしては論じられないということを物語っています。この辺り興味を持った方は、ぜひともデザイン史をひもといてみてください。ゲームデザインにもさまざまな示唆を与えてくれるものと思います。


*3:ペットボトルのデザイン
 ミネラルウォーターのペットボトルは、たいへん軽く作ってあります。ハイキングなどにも持ち歩かれるこの商品にとって、「軽い」「飲み終わったら簡単に潰せる」は、まさに"見えない機能"なのです。それでも、ボトルそのものの形状のユニークさにこだわるという点では、コカコーラにひけをとりません。商品そのものに絶対差がつけづらいため、ブランドの価値をあらゆる手で守る必要があるわけです。


*4:自動車の場合
 例えばメルセデスベンツ。大柄な車体とそれを動かす十分なパワーは"見える機能"です。そして、その結果もたらされる安定性などは、運転している人に精神的ゆとりや優越感などをもたらします。それが"見えない機能"です。一方で、あの車が持つ威圧感はいくらモデルチェンジしても全く揺るがないのですが、これは根本的な哲学として「力への信奉」があるからなのでしょう。これが"見えない美"です。
 この車を好む人は、ここに大きな共感を感じるのでしょう。会社社長やプロスポーツ選手、そして暴力団関係者 ―まさにニーチェ的価値観を感じますね。こういう人は、ほぼ同一の仕様を持っていたとしても、ジャガーやレクサスではだめなのです。また、クリエイターにベンツ嫌いが多いのも、この理由です。勝ち負けよりもオンリーワンを大切にし少数派を好むという人生観の方が主流派だからです。


*5:人材開発に携わる人間
 直接的には「企画職」の採用を行っている人事担当ということですが、学校関係者が同レベルで該当することも、言うまでもありません。また、企画志望者というバトンを受け取って育てる人として、開発部門の現場責任者やプロデューサーなども含まれます。 他には? 全体に先行する部分にいる人=「ゲームデザイナーになる」を本やWebに書いて発表している人も含まれてくるかも。私の場合、いくつもの意味で該当してしまいますね。


*6:世界シェアにおいてXbox360がPS3を超えている
 この辺の数字はのべつ変化しますので、あくまでもこの原稿を書いている時点でということです。報道された数値によると、Xbox360は2009年1月末で2800万台、一方、PS3は同年3月末で2100万台となっています。ちなみにトップはWiiで、2月時点で5000万台突破とのことです。