かれこれ二十年くらい前の夜中の出来事。
母がいきなりとんでもない話しを始めた。
「来年卒業でしょう? だから、別々の人生を送ったほうがいい」
とんと何のことだか理解できないわたしはポカーンとした。
「あんたも男ならひとりでやってみなさい」
と、続ける母にわたしは怒った。
「何言ってるんだかちっともわかんねえよ!」
怒るわたしを余所に淡々と進める母の話しはこうだった。
学校を卒業して社会人になったらすぐに家を出てひとりで暮らせと――。
さすがのわたしも正直ビビッてしまい不安になった。
でも、母には母の人生がある。これまで育ててくれたのだから自由にしてあげるのが一番の親孝行だと思い即答した。
「やりゃいいんだろ、やりゃ!」
想いとは裏腹に怒って言うのこの頃から変わりない。蛇足だが、わたしは言葉遣いが荒いものの、母に対しての呼称を「ババア」などとしたことは一度もないのが自慢だ。
それからはアパート探しや必要なものを買い揃えるために奔走した。
つづく