内裏山霊嶽院九品寺:浄土宗

 「鎌倉駅」から「九品寺循環」、「逗子駅」行きのバスに乗り、「九品寺」で下車。バス停から道を少し戻ると、左手に山号が内裏山(だいりさん)という浄土宗の九品寺(くほんじ)がある。

 「内裏山」という額がかかった山門を入ると、境内の正面奥に本堂がある。本堂前には、左右にハスの葉を形どった銅製の天水受が置かれ、本堂正面の軒下には、中央に龍の彫刻がある。

 新田義貞が元弘三年(1333)、北条氏を討つための鎌倉攻めを行ったとき、この場所に本陣を置いたという。義貞は北条氏が滅亡した後、北条方の戦死者の霊を慰めるために、延元元年(1336)、この地に九品寺を建て、日頃から尊敬していた風航順西を京都から招いて開山とした。そして、戦死者の霊を厚く弔ったという。

 山門と本堂に掲げられている額の「内裏山」と「九品寺」の文字は新田義貞が書いた文字を写したと伝えられる。この寺は鎌倉三十三か所観音霊場第十六番札所でもある。

 本尊は阿弥陀如来像で、南北朝時代のものであるといい、また、鎌倉時代の薬師如来像は、永仁四年(1296)の年号がある石仏で、現在、鎌倉国宝館に預けられている。