古風な洋風建築

 報国寺の横の道をさらに奥へ200mほど入ると、古典的な洋風な建物がある。この建物は旧華頂宮邸と言われ、昭和四年に華頂博信邸として建てられたもので、平成八年に鎌倉市が取得し、国の登録有形文化財に指定された。

 華頂宮家は明治元年(1867)に、伏見宮家から分かれて創始された宮家であるが、第四代当主博忠氏の死後、嗣子がなく、大正十三年に廃絶した。この建物は博忠氏の弟にあたる華頂博信氏の住居として建てられたものである。そのため、厳密には、旧宮家邸ではないが、そのように通称されたのだろう。

 建物は木造銅板葺の二階建てで、鎌倉文学館(旧前田家別邸)に次ぐ規模の洋風建築と言われている。

 旧名「宅間橋」の位置に、新たに架けられた橋が「華の橋(はなのはし)」と呼ばれるようになったのも、「華頂宮邸」建設にちなんでのことという。