瑞泉寺の総門の100mほどの手前で、北東に入る小路を600mほど行くと、瑞泉寺裏山のハイキングコースに出る。その途中に、「貝吹き地蔵」と言われるお地蔵さまがある。

 新田義貞が元弘三年(1333)に鎌倉に攻め込んだとき、北条高時の首を新田勢に渡すまいと、その首を家来たちが持って逃げた。どこに埋めたらよいか迷っているときに、お地蔵さまが貝を吹きながら、徧界一覧亭から天園に向かう谷間に導いてくれたという。

 そのため、無事に高時の首を埋めることができたので、後に、その谷の上方の尾根にお礼の地蔵を安置したのが、「貝吹き地蔵」で、新田勢が鎌倉を攻めてきたことを知らせた地蔵とも言われるが、これは鎌倉に昔から伝わる地蔵信仰の物語の一つである。

 それだけでなく、「貝吹き地蔵」へ行く途中の胡桃山には、そのとき亡くなったと北条一門の墓と伝えられる「北条首やぐら」もある。