アメリカの女性誌を見れば、アメリカの社会がわかる
 アメリカの女性誌はアメリカ雑誌の中で数が多いカテゴリーで、「アメリカの女性誌を見れば、アメリカの社会がわかる」と言われたくらいに女性の生き方を反映してきた。女性誌がどのように歴史を創ってきたか、その誕生から現在までの流れを見てみる。
 アメリカの女性誌における創刊ナンバーワンは1792年に創刊された『レディーズ・マガジン(Lady's Magazine)』で、この雑誌以降、今までずっと、アメリカの女性誌はアメリカの女性の関心事や問題点について語ってきた。
 1830年に『ゴディーズ・レディーズ・ブック(Godey's Lady's Book)』が創刊され、1837年に、編集長に就任したサラ・ジョセファ・ヘイルがアメリカの女性誌の原型を確立した。この雑誌は女性の参政権獲得や地位向上、労働環境の改善などが主なコンテンツであった。
 1850年代になると、『レディーズ・レポジトリー(Ladies' Repository)』はニュースやイベント、ホームメイキングのアドヴァイス、家庭の価値観などのコラムを連載した。また、『レディーズ・ホーム・ジャーナル(Ladies' Home Journal)』は食品の安全性や薬害について言及し、『デリニーター(The Delineator)』は子供を迫害から守るキャンペーンを開始している。
 そして、1930年代には、セブン・シスターズ(七大家庭実用誌)が政治的な問題、公共の仕事、国民的な行事への参加を促す特集を組んで、女性のオピニオン・リーダーの役割を果たしていた。
 1970年代になると、女性の社会進出がが進み、働く女性の数が増え、女性の地位向上が大きな関心事になった。そこで、女性誌は同一賃金、同一労働などについて市民運動として展開するようになった。
 差別の撤廃、政治参加、育児、健康、環境問題、人種による平等、ホームレスと貧困の減少についても、それらのテーマに合った女性誌が登場して助言を提供した。
 そして、現在、アメリカの女性誌の基本的な役割は女性がどのように生きるか、また、家族の幸せとは何かを探すためのツールになっている。それに加えて、ほとんどの女性が収入を得る何らかの手段を持っていることから、日常生活を取り巻くすべてのテーマについてアドヴァイスや情報の提供を行っている。