忘却の河のほとりに
わすれな草が咲いている
大マゼラン星雲が
宇宙を一周する
70年代のラジオの電波が
宇宙を一周して戻って来る日
赤トンボの零戦が
人間に向かって機関銃を撃つ
ラジオからリアルタイムで
甲斐バンドのバス通りを
聴いた記憶
僕の甘い心に蟻がたかる
夢の中の画廊で僕が昔描いた絵を買う
虹の滑り台から
天使が滑り落ちてくる
雨のリトマス試験紙の紫陽花
忘却の河のほとりに
わすれな草が咲いている
大マゼラン星雲が
宇宙を一周する
70年代のラジオの電波が
宇宙を一周して戻って来る日
赤トンボの零戦が
人間に向かって機関銃を撃つ
ラジオからリアルタイムで
甲斐バンドのバス通りを
聴いた記憶
僕の甘い心に蟻がたかる
夢の中の画廊で僕が昔描いた絵を買う
虹の滑り台から
天使が滑り落ちてくる
雨のリトマス試験紙の紫陽花
作詞 房登嘉洋
そんな病弱な、サナトリウム臭い風景なんて
俺は大嫌いなんだ
僕の思っている海はそんな海じゃないんだ
そんな既に結核に冒されてしまったような
風景でもなければ、思いあがった詩人めかした海でもない
おそらくこれは近年僕の最も真面目になった瞬間だ
よく聞いていてくれたま》え。
それは実に明るい、快活な、生き生きした海なんだ
いま》だかつて疲労にも憂愁にも汚されたことのない
純粋に明色の海なんだ
遊覧客や病人の眼に触れ過ぎて
甘ったるいポートワインのようになってしまった海ではない
酢っぱくって渋くって泡の立 つ葡萄酒のような
コクの強い、野蕃な海なんだ
波のしぶきが降って来る。
腹をえぐ》るような海藻の匂いがする
そのプツプツした空気、野獣のような匂い
、大気へというよりも海へ射し込んで来る
ような明らかな光線――ああ今僕はとうてい落ちついて
それらのことを語ることができない。
何故といって、そのヴィジョンは
いつも僕を悩ましながら、
ごく稀なまったく思いもつかない
瞬間にしか顕われて来ないんだから
作詞房登嘉洋
行一が大学へ残るべきか
それとも就職すべきか迷っていたとき
彼に研究を続けてゆく願いと
生活の保証とその二つが不充分ながら
叶えられる位置を与えてくれたのは
彼の師事していた教授であった
その教授は自分の主裁している研究所の
一隅に彼のための椅子を設けてくれた
そして彼は地味な研究の生活に入った
それと同時に信子との結婚生活が始まった
その結婚は行一の親や親族の
意志が阻んでいたものだった
しかし結局彼はそんな人びとから我がままだ
剛情だと言われる以外のやり方で
物事を振舞うすべを知らなかったのだ
彼らは東京の郊外につつましい生活をはじめた
信子はよくそういった話で単調な生活を飾った
行一はそんな信子を貧乏する資格があると思った
信子は身籠った。
青空が広く葉は落ち尽くし
鈴懸が木に褐色の実を乾かした
冬凩が吹いて人が殺された
泥棒の噂や火事が起こった
短い日に戸をたてる信子は舞いこむ
木の葉にも慴えるのだった