新生・東宝『エリザベート』~男性性シシィから女性性のシシィへ~② | ふうこの★アートでセルフセラピー★

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アート(芸術)は心のセラピスト。
私はカラー、パステルアート、歌や演劇などを通して癒されてきました。

こちらのブログでは、セルフセラピーとして描いたオリジナルアートやぬり絵、そして様々なアートにおけるヒーリング効果についてを私の視点から発信しています。

楓子(ふうこ)です。

マニアック観劇感想記事、2つ目です(笑)

前回は>>こちら

新生・東宝『エリザベート』2015

今回驚いたのは、やはり花ちゃん(花總まり)の新解釈のエリザベート(シシィ)像でした。

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彼女は日本での初演と再演で二回エリザベート役を演じていて、
今回3回目になります。

初演ではなちゃんはとても気が強く、プライドの高い正に「王妃!」というエリザベートを演じました。

そしてそこから「エリザベート役はこう演じるもの」というように、
他のキャスト達もエリザベートをそのように演じていきました。

だから今回もね、そうなるのかな?とか思っていたのだけど・・・


今回のエリザベート像は予想を裏切る
『女性性』のエリザベートだった。



どういうことかというと、
これまでのエリザベートは

「自分という存在を宮廷で認めさせるのよ!」

というような、戦いのエリザベート、即ち男性性のエリザベートでした。
そして、必死に戦って戦い切った結果、
思い残すことなくこの世を去っていく。

そんなエリザベートでした。


でも今回の花ちゃんの演じたエリザベートは、

純粋だからこそ、宮廷からのいじめや子供たちの死によってどんどん傷ついて行き、
その中でどんどんボロボロになって、
ようやく最後死によって救われたという、

本当に悲劇以外の何物でもないエリザベート像でした。

この世では休めない。
この世では生きられない。
死が自分を安らかにするただ一つのゴールである。


その解釈があまりに残酷で辛くて、
幕が降りた後、しばし茫然としてしまう程・・・


これまで東宝『エリザベート』では、ずっと宝塚を卒業した男役がエリザベートを演じてきましたが、
娘役がエリザベートを演じることになったのは今回が初めてです。

ここでまさに、娘役としての底力を見せてくれたなーと感じました。
素晴らしい演技力でした。

昔から彼女のファンだった私としては、泣けて仕方がなかったです(;;)


そして今回のこのエリザベートと正に”鏡”だと思わせた京本ルドルフ。

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京本ルドルフは、あの京本政樹の息子です。
ご本人はジャジーズだそうです。

ミュージカルの経験が浅いということで、勿論、まだまだ声量もないし身体の使い方もなっていないけれど、

運命に翻弄される悲壮の王子感が満載で、
観ているだけで可哀想だと感じるプリンスでした。
トートにオモチャにされた感がハンパなかったです。

死の舞踏の後に、自らトートにキスをしに行き、
笑みを浮かべながら銃で自殺。

この最後の笑みが本当に幸せそうで、
ルドルフもママと同様、この世が生き辛くて仕方がなかったのだなと涙を誘いました。


そしてそのルドルフとエリザベートを弄ぶ城田トートに、ノックアウトです。

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とにかく、美しい!!そしてエロいです。
人じゃない感が満載の城田トート。しかもダンスがうまい。
歌もこんなにロック系のトートは日本じゃ初めて。

何をしていても絵になります。
こんなのが死神だったら、「連れていって~!」と思ってしまって地球上に女性はいなくなることでしょう(笑)

私、前回観た石丸幹二トートが凄く好きで、
これ以上のトートはもう出てこないだろうと思っていました。

でも城田トートも本当に素晴らしかったです。

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今回唯一梨園から出演の松也ルキーニ(写真右)。
思ったよりも歌がとても上手で、感動!!

でもお芝居は予想通り過ぎてちょっと物足りない感がありました。
もっとルキーニとしての狂気さやエキセントリックさが垣間見えたら、
ストーリーテラーなだけではないルキーニになった気がします。

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剣ゾフィは、「さすが」の一言。
とにかく迫力が凄いゾフィでした。
こんな人が姑だったら、そりゃシシィも逃げだしたくなるなと思わせるほど。

欲を言えば、もう少しフランツやルドルフに対する柔らかい愛が見えたら、ゾフィの死のシーンはもっと涙を誘ったと思います。


そして今回、佐藤フランツ初めて拝見しましたが、
歌はとてもうまくてうっとりしましたが、
お芝居が私はダメでした(ファンの方ごめんなさい)。。。

エリザベートへの愛が伝わってきませんでした。
だからこそエリザベートが可哀想にも見えたけれど、
『夜のボート』ですれ違う2人の愛が感じられず、残念。
でもまだ若いので、これから味を出していってほしいです。

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アンサンブルは、毎回のことながら東宝は素晴らしいクオリティの方々をキャスティングしてくれるなと思います。

特に今回は元宝塚の方が多かったのもあり、
懐かしさを感じたりもして。

特に未来さんのマダム・ヴォルフとルドヴィカは迫力ありすぎで、
度胆を抜かれました。

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舞台は特に、アンサンブルの質がその舞台の質と言っても過言ではないかと思います。

主要キャストは勿論大事だけれど、
脇を固めてベースを作るアンサンブルが良くなければ、
その舞台の深みは落ちます。

だからアンサンブルの質こそが、舞台の成功を占うと思っています(^^)


もっともっと語りたいことはあるのだけれど、
また出てきたら随時書いていきたいと思います。

マニアック感想記、最後まで読んでくれてありがとうございました


***おまけ***

オリジナルのウィーン版『エリザベート』です。
ご興味ある方は是非観てみてね



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