「ブーブ、ブーブ」



「由依さん、由依さん」



レッスンが終わり、ひと段落をしていると綺良ちゃんが私のところに元気そうにやってきた




「今日上手くダンスできたのでギューしてください!」




「由依さん、由依さん、私も頑張りました」




隣にちょこんと座っていた夏鈴ちゃんも今日は珍しく甘えてきた




「2人ともよく頑張ったよ」




卒業発表をしてからというもの、2期生がよく甘えてくるようになった





私の性格だから嫌々そうに抱きつくけど、内心は嬉しい限りだ





「2人とも可愛いなぁ」





私より少し低い綺良ちゃんと身長が高い夏鈴ちゃんを抱きしめる





「わ!ずるい私も抱きしめてください」





天ちゃんが後ろから抱きついてくる





「わぁ、3人は無理だよー」




可愛い可愛い後輩に埋もれているとふーちゃんに声をかけられる





「3人ともゆいぽん潰す気?笑」




幸せに埋もれていると3人がふーちゃんに怒られてしまった




「1人ずつしてもらお!」




天ちゃんの提案で2人とも目を輝かせて、3人でジャンケンをしている





「ほらほらさっきからスマホ鳴ってるよ?」




なかなか結果が決まらず、待っているとふーちゃんから声をかけられる





「あ、今日理佐来てくれるんだ」





忘れていたわけじゃないけど、迎えの時間から少し過ぎていた




「てか今日4年目の記念日じゃん!」



理佐と私が付き合っていることはメンバーに知り渡っていて記念日まで知られている






「そうだよ!理佐のケーキ食べるの!」





「私が1番に抱きつきます!」



やっと決着がついたのか嬉しそうに来たのは天ちゃんだった





「あーごめん」



「もう理佐迎えに来てるんだ、」




不貞腐れて慰めようとするとふーちゃんが助けてくれた





「今日りさぽんの記念日だから抱きつくのは明日にしなー」





「ほら今日は私と抱きつこ!」





あとはふーちゃんに任せて帰る用意をする





LINEを開くと駐車場で待ってるとのことだった




急いで駐車場に向かって走る






「遅くなってごめん」





理佐の車に乗ってすぐに謝る




「いいよー」





「どうせ2期生に抱きしめられたりしてたんじゃないのー?」




少し拗ねているのか強く抱きしめられた




「えへへ」




「卒業発表してから余計に甘えられるようになったの」





「まぁ私の彼女だから甘えたくなるよねー」





満面の笑みで見つめられ気づいたら軽くキスをされた





「もっとキスしたいけど、、」
「ほら見て。後ろ」






後ろを振り返ると、後部座席一面に花束が飾られていた






「え!凄!!」





可愛い風船と花束と、、豪華すぎるくらいの飾り付けがされていた





「私と6年付き合ってくれてありがとう」





「こちらこそこそありがとう」





もう一度抱きつく




「家に帰ってお祝いしようね」




そう言って車を走らせた






「ほら入って」



家に入ると車より豪華な飾り付けが廊下からリビングへと続いていた



「今年、豪華過ぎない?」




理佐が卒業してから飾り付けと料理は理佐担当になったがここまですごいのは初めてだ






「えーだって由依も卒業発表してひと段落する年だもん」





「ありがとう」




リビングへとスタスタ行こうとする理佐の袖を掴みキスをする





「んッ、、」



「ドキってした?」




唇を離すと顔を赤らめた理佐に意地悪を言う




「もう、急にするからだよー」






リビングに行くと理佐がチキンとグラタンにサラダを用意してくれていた






「全部美味しそう!」




「クリスマスに作ったチキン好評だったからまた作っちゃった」




「美味しかったから嬉しい」



2人で乾杯をして今日の話や付き合った日の思い出を語る





「そろそろお揃いのプレゼント交換しよ!」




ソワソワと理佐が言ってくる




毎年お揃いのものを買って交換をする




1年目はブレスレット、2年目は例外で2人で同棲をした




そこから2人でカップリングを作りに行ったりネックレスを渡したりした




「先にお皿洗うよ」




そういうと理佐に腕を掴まれた



「先にしよー」



「どっちからする?」



うきうきして嬉しそうに言ってきた





「なんか嬉しそうだから理佐から先に」





るんるんと隣の部屋に行くと大きな声で言われた




「ねぇ目つぶって!」
「ちゃんとだよ!」




「んーわかった!」




目をつぶって聴覚を研ぎ澄ませる




足音が近づいてきて、紙切れのようなものが机に置かれる音がする



「由依こっち向いて」



理佐に肩を触られ理佐のいる方向に体が向く




「目開けていいよ」



ゆっくりと光が目に入り込み優しい理佐の声が聞こえてくる




「由依、私と結婚してください」





理佐の手には理佐らしい綺麗で美しい結婚指輪があった





「え!ほんと!?」




手を差し出すとケースから取られゆっくりと私の左指にはめられた





「これ裏にサファイアがあるの」
「永遠の愛情だよ」




「ありがとう」




「それと婚姻届」





机に置かれていたのはドラマでよく見るものだった




「保証人は友香に書いてもらった」




ほら、というようにペンが机に置かれた




私は今複雑だ、
私のカバンの中に入っているものに目をやる





「ねぇ、私のお揃い先に渡してもいい?」





「いいけど、書いてくれないの?」



すぐに書かない私を不安そうに見つめる




「ちょっとまってて」



カバンの中に入っているものを手に取り理佐に渡す




「私のも書いてくれない?」




理佐に渡したものは机に置いているものと同じものだ





「ふふっ」
「別れるとか言い出すのかと思ったら由依も同じ考えだったー笑」




そうだ
私も今夜理佐に結婚を申し込もうとしていたのだ




「それとデザインはちょっと違うけど」




ポケットからそっと取り出し理佐に差し出す





私が選んだデザインはルビーにした
理佐の誕生石で情熱的な愛情だ、





私も同様に理佐の左指にはめて、
私たちの指には理佐のものと私のものが重なっていた






そして2人でお互いの婚姻届を書く



「これ間違えたら友香にもう一回書いてもらわないとね」




「友香、私たちが婚姻届渡すってこと知ってたんだよね笑」



私もゆっかーに頼んで書いてもらっていた



「なんか私の時、あーって感じでにこにこしながら書いてた!」



ゆっかーに頼んだ時のことを思い出す




「由依の方が後だったんだ」
「ていうかさ、今日LINE来てたんだけど」




「頑張ってねの後に、にこにこしたスタンプ送られてきてたわー」




2人で話をしながら書き終えて、大事なところに2枚重ねて置いておいた





「いつかほんとに提出出来たらいいね」




「2枚提出できるかな?」




「ほんとだ笑」
「いつか困っちゃうね」




「だね」




2人でソファに座り、私の左手は理佐に繋がれていた



「今日は私と結婚してくれてありがとね」




「こちらこそありがとう」





「いつかほんとに結婚出来ますように」






「乾杯」





2人でいつかを喜んでカップを重ねた