11月がもう終わりを迎えようとしている日




私も理佐も手にいっぱいの袋を持って夜の街を歩いている



「ねぇ寒い」




隣を歩いている理佐よりも少し、遅く歩いて




理佐の袖を引っ張る




「言わなきゃわかんないよー」




私が手を繋いで欲しいと分かっているはずなのに




それを言えないということも分かってるのに、




意地悪をしてくる




「じゃあもういいもん」




寒いし、可愛い声で言ったんだから繋いでくれてもいいじゃん




心の中でそうつぶやいて、理佐を追い抜くように早足で歩く




「危ないから」



追い抜く前に理佐の手が私の腕を捕まえた




腕組みをして、慣れたように恋人繋ぎになって



ポケットに理佐のポケットに閉じ込められた




「可愛い手だね」



そう言って握っていた手に力が入る




まだ手は温かくないのに、心はもう温まっている




繋いでいるだけで、理佐が私の隣にずっといてくれるように感じられて安心する




理佐との恋人繋ぎをしているのに夢中になって知らない間に家に着いていた


「ほら由依、ちゃんと手洗うよ」




荷物を置いて、ペコペコになったお腹を満たそうとお菓子を袋を開けていたら理佐に止められた




「理佐と手繋げたからこの温かさ洗い流したくない」




上目遣いで可愛い声を出す




「手、冷たくなるからでしょ」




心の中を読まれた




「一緒に手洗ってあげるから」




後ろから理佐の手が出てきて、一緒に石鹸で洗う




鏡で目が合うと、仕方がないという顔をしながらも喜んでいる顔をしている






理佐のポーカーフェイスも好きだけど、隠しきれてないところも好きだ





手を洗い終わってさっき開けかけていたお菓子を口の中に入れる




「由依、このカップラーメン机に持って行って」




キッチンに小走りで走り、自分のカップラーメンを受け取る



「熱いから気をつけてね」
「持っていこうか?」




ポンポンと頭を撫でられると、嬉しくて手に意識がいかなくなってしまう




それを分かってこういうことをしてくる




顔を見ると喜んでいる理佐の顔が目に映る




正常に頭を切り替える






「大丈夫だもん」




ちょっと口を膨らませて机に持っていく




3分待って一緒に手を合わせる




「いただきます」




久しぶりのカップラーメン、、







「んー、、」




食べるのに必死で髪の毛のことを考えていなかった




「もう、、」



右からそんな声が聞こえてきて髪の毛を耳にかけてくれる





そこまでは優しい彼女なのに





耳をなぞってくるのが意地悪だ、




「もうっ!」




怒った顔を向けると知らんぷりにラーメンを啜っていた




ラーメンを食べ終わると映画観る




恋愛映画なんだろうけど、8割聞いてない




理佐は楽しそうに見ている



私は、というと





理佐と恋人繋ぎをしたり





手の甲にキスをしたり、



腕組みを甘噛みしたり



バックハグを解いて、向かい合ってぎゅーしたり




首元にキスをして終わるのを待っている






「由依見ないの?」




「見てるー」



適当に返事を返して腕に噛み付く





「んー?」




噛み付いていると私の顔を覗いてくる





「ちゅっ、」





覗いていたんだからキスだってしていいだろう





口にキスをする





「可愛い彼女だなぁ」




後ろから強く抱きしめられる





私は恥ずかしさを逃がすように恋人繋ぎをする





手を握るといつもより理佐を近くに感じられて、安心する




どこでも安心できる最高の繋がりかもしれない