その海岸
壊れてしまった砂城
少女が王子をまちながら
爆炎となかよく歩いていたその海岸
待ってもこない王子を恨まず
希望の星を磨いて夜空にかける少女が哀切して
夏は深い悲しみにしずみ
秋の海にだかれ
波は秋風をのって
少女の胸をなでてくる
その海岸
秋風にゆれる少女の髪の毛
時々みえてくる白い色が
歳月の無情になって胸を抉り出しているけれど
変わらないその海岸その波その風の音
そして夜空に届いた希望のその星らが
秋海の深いそこで
夏が安心して安らかにねると
少女は頬笑んで
両手を広げて胸深く海を抱いていく