なんの因果か、私はバイト前というのにスタバで藻類に関する本を読んでいた。井上勲著『藻類30億年の自然史』(東海大学出版会)である。


そこに、著者自身が、藻類が深海に生息しているかどうかを確かめにゆく体験談がのっており、深海に達した潜水艦内の環境が具体的に描写されていた。以外引用文


「海底は寒い。潜水にあたって支給された、これまで身に着けたこともないほど分厚い防寒着に包まれていたが、芯まで冷えた。870 mの海底は低温と闇の過酷な世界だった。生産のない、生産が不可能な世界である」


私はこれを読んでONE PIECEを思い出した。


E. Oda, "ONE PIECE", vol. 62, no. 604, pp. 8-28, May 2011.によれば、1000 mを越えた地点で「ずいぶん光も届かねェ感じ」であり、麦わらの一味は防寒着を着ることなく、腕や腹を露出している。


しかし、E. Odaの地学における知識はやはり目を見張るものがあり、太陽光は海中へ進むほど光量が指数的に減衰し、光がある程度届く層を有光層というのだが、ONE PIECEの世界でもこの概念が存在し、「受光層」「薄明層」というのがある。


実際井上勲氏が体験したものよりずっと進んだ1000 m地点では有光層はとっくに越えており、述べたように「闇の世界」である。太陽光は全く届かないので、防寒着が必要になる。一方でONE PIECEの世界では1000 m地点で太陽光は「ずいぶん光も届かねェ」といいながらあくまで「感じ」なので届いているようだ。それを「薄明層」といい、したがって寒くないのかもしれない。


ONE PIECEの世界の太陽は地球と距離がかなり近いのだろうか、熱エネルギーがより多く地球上に届いている事情がある。あるいは、海水が質的に現実世界と違っていて透過性に優れているため深部まで光が届くのだろうか。今後に期待します。