「~土俵入りは終わりました~ 」
中入り
行司さんによる場内アナウンスが館内に響きます。
幕内土俵入り
に引き続き
横綱土俵入り
が終わると
花道と
土俵周辺は
一気に慌ただしく動き始めます。
花道奥:土俵入りを終えて引き上げる横綱御一行様と
先導の立行司・式守伊之助さん(付け人さんがお出迎え)。
土俵下:横綱土俵入り時に柝を打っていた克之さんは
健太さんに何やら指示中。
土俵上:鶴太郎さんと雄志さんがホウキ整備中。
その後
土俵にマイクスタンドが設置されると、、、
花道奥からは
一旦引き上げた伊之助さんの御姿が。
手には
広げた扇と和紙の束。
・・・
ということで
前置きが長くなりましたが
今回は
先場所にお見かけした
「顔触れ言上」についてまとめてみたいと思います。
【顔触れ言上】 とは何ぞ。------------------------------
◆中入りの土俵入り後に
立行司(空位の場合は三役格行司)によって
翌日の幕内取組を観客に披露する儀式のこと。
◆場内では
「 ここで、立行司式守伊之助によります
明(みょう)○日目、中入後、取組ご披露であります 」
とアナウンスされる。
◆この時に使用する
取組(割)を一番ずつ和紙に書いたものを
「顔触れ」という。
◆時間がおしている時には行われない。
◆NHK中継では
解説、新十両・新入幕・新三役力士等のインタビューや
何らかの企画放送に切り替わっている。
とはいえ昨今では
ネット放送で見ることが可能。
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、、、と
確実に行われるものではないため
お見かけする時には
大変嬉しいこの瞬間。
今回は特に
現立行司・式守伊之助さんの所作や口上に
注目しながら見ていきたいと思います。
✿ ✿ ✿
立呼出し・拓郎さんの
「 とざい、とーざい 」の声、柝の音が始まりの合図です。
伊之助さんは
扇を広げて持ち
その上に顔触れを乗せています。
(丸めて紐で封じられている。)
※行司さんによっては
扇を顔触れの中に入れた状態で
登場し、開始するパターンもあります。
木村庄太郎さん版ではこんな感じ。
「 はばかりながら、明日(みょうにち)の取組をご披露つかまつります 」
という口上後
扇と顔触れを掲げ
封(紐)を解きます。
だいたいこのタイミングで
補助役の呼出しさんが土俵に上がられます。
若い呼出しさんが交代で務められており、
この日の場合は慎さんでした。↓↓
いよいよ取組披露スタート。
「 千代丸に照強~、、、 」(例
といった具合に顔触れを読み上げ
東、正面、西の観客席に向けて提示してゆきます。
他の行司さんの所作では
東→正面→西
の順序で回覧している様子を見ますが
当代伊之助さんの場合は
一度正面に提示したあと
東→正面→西
の順にて回覧しています。
【顔触れ回覧のイメージ】
※「同じ顔触れ」でシャッターを切っていないので、「イメージ」で見て頂ければ、、、。
まずは正面に。
続いて東。
再度正面に。
西。
最後に
顔触れを正面に向け直し
補助役の呼出しさんに渡しつつ
次の顔触れを読み上げる。
以降繰り返し。(×二十番前後)
一方
補助役の呼出しさんは
同時進行で
西→向正面
東→向正面
の順に
受けとった顔触れを回覧します。
これで一枚の顔触れが四方向に回覧されたことになります。
また
一定のタイミングで
拓郎さんが土俵に上がられ
「 とざい、とーざい 」
の声を入れられます。
最後の一枚。結びの一番。
拓郎さんは柝を持ってスタンバイ。
全ての取組披露が終わると
補助役の呼出しさんは
受け取った全ての顔触れを持って
土俵を下ります。
伊之助さんは
扇を閉じて掲げ持ち、締めの口上を述べます。
「 右、相つとめまする間、明日(みょうにち)もにぎにぎしく
お出でをお待ち申し上げたてまつります 」
当代伊之助さんの口上は(たいてい)上記の通りですが、
これも行司さんによって
「 ~、、、ご来場をお待ち申し上げたてまつります 」
「 ~、、、お出で/ご来場をお待ちたてまつります 」
など
若干の違いがあるようです。
当代伊之助さんの口上は
すっごく丁寧語。だと思います。
そして
拓郎さんの柝の音によって終了。
✿ ✿ ✿
以上が
顔触れ言上、行司さん(当代伊之助さん)に
注目Ver. でした。
去年の今頃は
当時の三役格行司さんが
交代で務められておられたもの。
勘太夫(現伊之助)さんに加え
玉治郎さん、容堂さん、庄太郎さん。
そこには
「立行司が不在」
という事実があったにせよ
非常に豪華&貴重なものでした。
数場所で四名分を見ることができる、という、、、。
顔触れの言上の所作や口上は
伝統的な一連のパターンがあるにせよ
・所作の運びやタイミング
・口上の中で選び取る言葉は
その時々に担当される行司さんの
裁量があるのだな
と感じます。
口上の節廻し
響く柝の音
ぴたりと合った呼吸に所作
様式と個の色
、、、
裏方さんの格好良さに触れる
贅沢な中入りの時間でした。
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余談のひとこと
この日の伊之助さんの装束、、、
先代(40代)いのすけさんのじゃあないか、、、( ´;ω;`)