ニワタマ時感:4月8日(月)……展示会 | ニワタマブログ

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  居茶珈屋 

鶏がさきか卵がさきか

数年ぶりに、開店当時からお世話になっている業者の展示会に出かけました。いつもの年は、週末に催されるので、招待されてもお店を休むわけにもいかず辞退してきました。けれど今年は、ニワタマの定休日に当たる月曜開催ということもあって、上野と一緒に参加することにしたのです。

 

日本中からやってきた食品加工の会社が、おそらくは100社以上、社運を賭けた自信の品を展示、更には試食という形をとって、紹介するものでした。各ブースには、それぞれの商品知識にたけたベテランの営業マンが配置され、自慢の商品を猛アピール。会場となっていたホテルの広いフロアーが、まるでデパートで開催される人気の物産展に迷い込んでしまったかのように、人であふれ返っていました。

 

一番関心を抱いたのは、冷凍食品でした。ニワタマでは、冷食をほとんど使ってこなかったので、これまでいろいろな業者から「今度こんな商品が出ました」とパンフレットやカタログをもらっても素通りしてきました。冷食はあくまで冷食。生のものを調理して提供するのとは、別物と頭ごなしに判断していたからです。

少なくとも10年くらい前までは、期待を裏切るような商品があまりにも多かったのは事実です。いまだにその裏切りを続けている商品も数えきれないほどあります。新商品が出る度に、業者の営業マンが試食品を持って来てくれるのですが、ニワタマのメニュー作りに生かせるような、調理師心をワクワクさせてくれるような味に出逢った試しがありません。むしろ、味を知ることで拒絶してしまいそうなものにも何度も出くわしてきました。もしかして、こんなにまずいということを伝えるために、この商品を持って来たんだろうか?そう疑いたくなるようなことも度々ありました。だからなのか、冷凍食品なるものを以前から信用してこなかった気がします。

 

ところが、今回の展示会で紹介された冷凍食品(気になるものだけを試食、もし全部を欲張って食べていたら、きっと今頃は身動きできなかったことだろうと思います……試食の種類、量は半端じゃないほど多かったのです)は、どれもこれも想像していた以上に美味しかったのです。こんなものまで冷凍できるんだという驚き。自分たちの勉強不足を情けなく思ってしまえるような商品の数々。パスタや麺類、特に、そばの冷凍技術が格段に進歩したのは知っていました。けれど、期待をいい意味で裏切る美味しい冷食が、この10年の間に、こんなにも増えていたことに、ただただ驚いてしまいました。

 

普段は店の周り100mを行ったり来たり、行動範囲の狭い上野にとって、約2時間の展示会巡りは、かなり堪えたようです。僕は?僕は若いからまだまだ平気さ!と見栄を張ってはみたものの、やはり疲れ切ってしまいました。足の疲れもそうですが、ニワタマの味づくりに生かせそうな食材(冷凍食品ばかりではなく、調味料、スパイス、輸入食材、乳製品etc.)に今日一日で、あまりにもたくさん出逢ってしまったものだから、僕の頭の中の厨房が、いろんな商品であふれ返っている状態です。それをこれからどう整理したらよいものか、腕組みして眺めている僕が一番疲れているみたいです。

 

今日得た味、そして、ワクワクをできるだけ早く皆さんにもお伝えしていきたいです。待っていてください。

 

 

そうそう、もうひとつ嬉しい話がありました。

僕らはネームプレートを首からぶら下げて展示会場を回っていたのですが、突然あるブースの営業マンが、そのネームプレートを覗き込むようにして、僕らに声をかけてきたのです。「ニワタマさんですか?いやぁ~、なつかしいなぁ~っ!」50代前後のハスキーボイスの男性でした。彼は、学生の頃、学園都市線で学校に通っていて、よくニワタマを利用していたというのです。残念ながら、その顔は、思い出せる顔の中にはありませんでしたが、それでも彼は、営業そっちのけでわずかの時間、嬉しそうに思い出話に花を咲かせくれました。

 

長く店をやっていると、時々、こんな素敵なおまけをもらえます。

 

今年になって、最初の春をしっかり感じれる日、心の中の僕もちょいと小躍りしています。