なぜ私がセミナーで「同業者お断り」としているのか | 人とお金を会社に残す社労士 丹羽浩太郎

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ほしい人が集まり、いい社員がやめない会社をつくり、人とお金を会社に残すお手伝いをする、愛知県江南市の社会保険労務士・行政書士です。
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連休あけ2/13(火)に、

地元の商工会議所で開催するハローワーク求人票のセミナー
 

同業者(社労士)数人から「私も参加したい」とリクエストを受けている。
しかし私は、今回、主催者にお願いして「同業者の参加はお断り」とさせて頂いている。

参加したい社労士の方は、下記いずれかをお願いしたい。


なぜ私が今回のセミナーで「同業者お断り」としているのか。
理由は次の3つ。
(①は建前、②③が本音である。)

  1. 「商工会議所会員(経営者)向け労務相談」の時間として、このセミナーを開催しているから
  2. 私の仕事のタネでもある、ノウハウ提供のセミナーであるから
  3. 仕入習慣やノウハウ尊重の感覚を、同業者に持ってほしいから

 

私たち社労士は、法律家であり事業者でもある。
しかし、私は他の事業者に比べ、社労士業界は甘いと感じることが多々ある。


その一つは、
他者が相応の対価や時間をかけて築いたノウハウを尊重しないこと。
 

これらを、タダで(または安価で)もらおうとしている人がいかに多いか。
悪意があるのかないのか、まるまる真似したりパクッたりするひどい輩も見かける。
(腐っても「士業=法律家」ですよね?)


例えば、今回私がお伝えするハローワーク求人票。
求人票自体、書いて出すだけなら、誰でもできるのでノウハウでもなんでもない。

そこに、いかに反応率を上げるか?企業が望む人材を引き寄せるものにするか?
そうした付加価値を付けることで、

求人票の書き方が、単なる情報知識ではなく「ノウハウ」になる。
(知ってるだけ・情報知識をたくさん持っているだけでは「ノウハウ」とはいわない)


ここに至るまでは、私も試行錯誤と経験を重ねながら実績をつんできたつもりだ。

結果、ある程度の手ごたえと自信はついてきた。

 

ただ、自分ひとりの力でここまでは来ることは到底できなかった。

感謝するべき、大きな柱が2本ある。
1つは、多くの求人票作成の機会を頂いた私のクライアントの方々。
もう一つは、岐阜県可児市の社労士の五十川将史(いかがわ・まさし)さんである。


五十川さんは、私とほぼ同年の開業でハローワーク職員の経験もある方。
全国随一のハローワーク求人票コンサルタントとしても知られている。
他の社労士が書いて出すだけの求人票に、

五十川さんは価値を生み出し、高めて、目に見える「ノウハウ」に構築した。



(左が五十川将史さん。昨年受講したセミナーにて)

 

今回のセミナーのコンテンツの枝葉には、

他の経営コンサル塾のスキルやNLP(実践心理学)を少々取り入れている。

もっとも、大部分の太い幹は、2回にわたり参加した五十川さんの有料セミナーで得たノウハウ。

時間と経験を積み重ねてノウハウ化した彼にリスペクトを込めつつ、

私も時間と対価をかけて「仕入」をしてきた。


求人票だけではない。
私の他の業務ノウハウやメニューも、

他の社労士との差別化をするべく、時間と対価を伴う「仕入」で手に入れたものだ。

しかし残念ながら、私達の業界には

こうした「仕入」や「ノウハウ」の概念をもつ人がまだまだ少ない。


社労士会の研修の多くは無料。

労働局や年金事務所など、行政主催のセミナーも無料。
重要でないとは決していわないが、

これらは情報知識やお勉強であり、付加価値を生み出す「ノウハウ」ではない。
これらのお勉強に満足している人ばかりで、

相応の対価を払って(時には交通費も)

「ノウハウ仕入」のセミナーを受ける習慣のある人が少ないのは、気のせいだろうか。


私の理念は、

私のもつ専門スキルやノウハウを使い、一般の経営者(顧客)の悩みを解決すること。
商工会議所のセミナーという場を通し、

顧客になりうる経営者の方々に広く伝えてゆくのは、私の理念にかなっている。
むしろ今まで以上に、お伝えする場をどんどん持ってゆきたいと思う。

しかし、同業者である社労士に、

時間と対価をかけて仕入れたノウハウを無料で提供することは、私の理念にはない。

むしろ、私は大いに抵抗を感じている。
(ここに私が抵抗を感じなければ、仕入れ元の五十川さんにも失礼にあたると考えている)

何の躊躇もなく、同業他社に

手の内や飯のタネを開示できる会社は、他の業界にあるのだろうか?
商品を開発した人(会社)や、何気ないものから「ノウハウ」に作り上げた人に、

価値を置かない業界はあるのだろうか?


今回は、同業者の参加希望が複数あることは、実は事前に想定していた。
会場が同業者で一定数埋まり、

本来お伝えしたい中小企業経営者の席が減ってしまうのは、私は断じて避けたかった。

こうした考えもあって、

今般の求人票セミナーでは、企画の段階で「同業者はお断りしたい」旨、申し出た。

今回の直接の理由は冒頭の①だが、これらの私の思いを主催者は十分くみ取ってくれた。
もっとも、理由はどうあれ、

団体の役割上、募集対象に制限を加えるのは難しい判断だったのかもしれない。
江南商工会議所の事務局の方の、寛大な取り計らいに改めて感謝したい。

ちなみに、他業種の方にこの話をしたら、複数の方が「そりゃ当然だよ」と賛同してくれた。
FP(ファイナンシャルプランナー)や保険・金融商品、営業コンサルなどの世界では、「同業者お断り」のセミナーも多いようだ。

タダで原材料やツールを得られる業界などはない。
飲食業・製造業・小売業・建設業など、

世の中の大部分の業種は、会社が身銭を切って仕入れをしている。
これらを私たちは忘れてはいけないと思う。


士業以外の一般の業界で、業務ノウハウをタダで聞きにいける文化はあるのか?
ノウハウ提供のセミナーで、同業者の参加を断らない業界はあるのか?
あればぜひ教えてほしい。

ノウハウも情報もタダではない。

同業他社からならなおさら。
他の業界の皆さんは、みんな知っています。

私たち社労士もそろそろ気づきましょう。


そうしないと、いつまでたっても

顧客の値切り攻勢を断ち切れなかったり、

「社労士は食えない」だの
「社労士さんって仕入れがないからイイですね」だの言われ続けますよ。