コロナ禍以前だったと思いますが、ある年の8月末か9月初旬に、ツインリュウの弥龍と二人で、箱根九頭龍神社の休憩所に腰掛けて目を閉じ、九頭龍さんに箱根を守りたい気持ち等をお伝えしていたところ、静かだった森に無数のツクツクボウシや様々な鳥達の大合唱が始まり、風が吹き始め、その心地好い風に浄化されるような感覚と、自然との一体感に癒やされるような至福の時間に浸っていましたら、10分程経った頃だったでしょうか、ボートらしきエンジン音が大合唱に割り込み、芦ノ湖に視線を向けると、15人程が分乗したボートが二隻迫って来るのが視界に入りました。


その団体は、お社の真前に集結し、お社に背を向けた指導者のような男性が、皆様に何やらお話を始めたのですが、先程から何かがおかしい?


アッ!、聴こえない!


大合唱と風がやみ、九頭龍の森が沈黙している!?


他の参拝者の方々は、団体を避けて肩身が狭そうに、急かされるかのように短時間でご参拝…


私達は、森に『もうお帰りなさい』と促されたように感じ(弥龍は、ボートの音が聞こえる前から立ち去った方がよさそうな気がしていたらしい)沈黙を続ける九頭龍の森を抜け出したのですが、不思議なことに、その後の道程は、そよ風に乗ったツクツクボウシと鳥たちの声が静かに流れていました。


あの大合唱と沈黙は、何を意味していたのでしょうか?