このアメリカ人のD君はカリフォルニア州の州都サクラメント市のウェブサイトの構築、改善、管理などに関する仕事をしていました。 彼は私のクライアントの知り合いで、そのクライアントと進めているロサンゼルスのリトル東京での日本の文化発信のためのショッピングモール兼マンションの複合施設建設を企画する会議に彼も招かれた際に知り合ったものです。
そういったバックグラウンドを持っていた彼なので、事業家Mさんの印鑑輸出用オンラインショップの話を打診すると二つ返事で賛同してくれました。
もちろん彼は日本人が日々どのように印鑑を使用しているか知っており、実際自分でも日本の銀行口座用の認め印を持っていました。
ただ、海外向けとしては日本の文化薫るギフトという切り口でオンラインショップをデザインしようと考えていました。
D君はまず彼が支援中で、日本発の海外向けヨーヨーのオンラインショップで成功しているMIさんを紹介してくれました。 高校からアメリカ育ちの彼はヨーヨーの世界チャンピオンで、ヨーヨーのブログを英語で書いていたところその閲覧数が膨大になり、それをベースに彼が良いと思う日本製ヨーヨーの輸出販売を始め、今や名古屋と渋谷にも実店舗を持つほどに成功しています。このMIさんからのアドバイスは海外、特に欧米の人々に印鑑に興味を持ってもらうためのコンテンツ作りと多くの画像・写真の活用でした。
ただ、どういった背景やシチュエーションで印鑑の写真や動画を撮ったら良いのかわからなかったのでそういった点も踏まえ、事業家MさんはD君が来日した際にこのオンラインショップのあるべき姿をじっくりと話し合いました。アメリカ人にとってハンコがどう映るか、自分の名前を漢字で表現することに興味はあるのか、どういったスタイルのハンコに興味があるか、許容できる価格帯はいかほどか、ギフトとして贈る場合、誰が誰に送ることを想定するか、どこまで字体などのオプションは必要か、ハンコを彫る前のデザイン承認の機会を与えるべきかなど細かいところまで話し合いました。
D君は日本の文化好きなアメリカ人の感性や嗜好をなぞるように思い起こしながらこのオンラインショップのデザインと運営の仕組みを考えてくれました。
日本のはんこ屋さんの日本人向けのオンラインショップのデザインに比べ顕著に異なるのはカラフルな写真画像の取り込みでした。 特に「さすが!」と思ったのは、一つ一つはただのハンコにも拘わらず、1つは松の葉に挟み込む格好で撮ったり、或いはハスの草の上に寝かして撮ったり、岩の上に立ててみたり、或いは開いた牡蠣の上に置いたりと、バックグラウンドにストーリー性を持たせて撮影したことです。
そしてできるだけ多くのオプションをお客様に与えることを提案してきました。結果として①材質で11種、②サイズ(径)で5種、③書体で6種を提示し、また縦書き、横書きの選択、文字選択(アルファベット、カタカナ、ひらがな、漢字)を設けたのです。 そして極めつけは外国人の名前の漢字変換を行い、その意味を説明するサービスや、デザインプルーフと称し、お客様が選択した結果に基づくデザインをpdfファイルで送りお客様に変更のチャンスを与えたことでした。 確かに欧米のレストランに行くと、飲み水の選択、サラダの種類とドレッシング、ステーキの焼き方、付け出しの選択、デザートの選択、コーヒーの選択などオプションが多いことからして、オンラインショップであっても多くのオプションを設けたのはアメリカ人の感性を持つD君ならではの判断でした。
続く