4月15日、和歌山市の雑賀崎漁港で岸田文雄・首相が街頭演説する直前に爆発が起きた事件。演説会場にいた木村隆二容疑者(24)を“ヘッドロック”で取り押さえたのは、地元の漁師、西出さん(54)だった。その果敢な行動は多くの称賛を集め、岸田首相からは感謝の電話もあったという。西出さんは翌16日、記者会見を開き、「無我夢中だった」「けが人がなくてよかった」と語った。

 会見後、本誌・週刊ポスト記者は改めて話を聞いた。西出さんは前日の赤い派手な印象の服装とは違い、この日は地味な黒の装いだった。

──犯人に言いたいことはありますか?
「まだ若いんだし、こんなことしてなんの得になるのか。反省してほしいですね。昨日も警察に行って、本人か確認してくれと言われて(木村容疑者を)見ましたけど」

──取り押さえた時の表情と違いましたか?
「(事件直後と)一緒で、無表情でしたね」

 当日、一緒に演説会場にいたという西出さんの妻にも話を聞くことができた。

──奥さんも一緒に現場にいたんですか?
「私は学生の息子と一緒にいてましたけど、爆発するところは見てないんです。『逃げろ!』いう声を聞いて息子とその場所を離れたんです。だから主人が取り押さえてるとか知らなかったんですよ」

──ご主人が取り押さえたのは知らなかった?
「漁師仲間が『ケガしてないから大丈夫や』言うし、息子が『電話せぇ。お父さん前の方行ったから』と言うから、電話したら『大丈夫』と。それで、息子にも『大丈夫らしいで』と言って安心して。そうして家帰ったら知り合いから電話がかかってきて、『テレビ、テレビ観よ!』っていうから、なんのことと思って、テレビ観たら『えっ!』と驚いて。息子連れていたから、すぐ逃げたんで、取り押さえたのがウチの人とは知らんかった」

──気づいていたらご主人を止めていた?
「でも、この人自分で動くから(笑)。それから警察の方に行くゆうのでね」

──勇敢な行動を取ったことについて息子さんは?
「私が臆病なんで息子を引っ張って(離れて)行って。息子は『親父前に行ってるよ』と言うから、私より凄い心配してました」

 その果敢な行動は、家族にとっても誇らしいことだったはずだ。