2019年12月に出版された、北野の歴史長編小説を原作としており、羽柴秀吉(ビートたけし名義で北野が演じる)、明智光秀(西島秀俊)、織田信長(加瀬亮)、徳川家康(小林薫)らを巻き込み、信長の「首」を巡る欲望と策略が入り乱れる中、「本能寺の変」へと突き進んでいく様を描いた。撮影は2021年4月から9月まで行われ、夏の暑さとリンクするような情熱的な作品となったようだ。

時代劇を描いた理由について北野は「NHK大河ドラマなどを見ていると、時代劇は綺麗に描かれ、武将はヒーローとして扱われ、人間の汚い部分や業というものが描かれていないと感じていた」と明かし、「男同士が絡み合うことは非常に避けられているが、殿様に対して命をかけるというのは、そういう関係にあるというのは自分の考え方。それを描かずに戦国時代を語るのはおかしいとずっと言っていて、死を前にした男同士の関係、武将や侍の残酷さ、生と死をバックボーンに上手く描けたらと思った」と話した。

ティザー映像にはチラりと映っただけだったが、狂気漂う信長を演じた加瀬は「自分に信長役をくれるのは監督くらいしかいないかな、と思いました。全員酷い役で、残酷なシーンもたくさん出てくるのですが、北野監督がそういった残酷なシーンを描くと、最終的に品の良い映像になっていると感じましたし、他の監督では絶対に描けないと思いました」と仕上がりを絶賛した。

本作は「カンヌ映画祭」で2021年に設立された部門「カンヌ・プレミア」に出品することも決定。同部門への出品は実写映画としては日本人監督初となる。

1997年「HANA-BI」でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、2003年「座頭市」で銀獅子賞を受賞し、2017年の 「アウトレイジ 最終章」は、同映画祭のクロージング作に選ばれるなど、世界的にも評価されてきた北野。 再び世界に挑む今作の公開が待ちきれない。