かぐや姫の「神田川」や、キャンディーズの「やさしい悪魔」などの作詞を担当した喜多條忠さんが11月22日に肺がんのため、亡くなっていたことが明らかになった。享年74歳。

 とりわけ1970年代に、かぐや姫や吉田拓郎とのコンビで、数々の名曲を世に送りだした。

 

 かぐや姫とは、

 ・「マキシーのために」 (この曲が、作詞家のデビュー作)

 ・「神田川」

 ・「赤ちょうちん」

 ・「妹」

 吉田拓郎とは、

 ・「やさしい悪魔」 (歌・キャンディーズ)

  ・「アン・ドゥ・トロワ」 (歌・キャンディーズ)

 ・「メランコリー」 (歌・梓みちよ)

 ・「いつか街で会ったなら」 (歌・中村雅俊)

 

 など、多くの楽曲の作詞を担当している。

 個人的には、「やさしい悪魔」や「メランコリー」をついつい口ずさんでしまう。

 

 ヒット曲が映画されるケースがあるが、1974年にかぐや姫とのコンビで作られた楽曲「神田川」「赤ちょうちん」「妹」が立て続けに映画化された。

 私の記憶が正しければ、「青春三部作」と呼ばれたような気がする。

 

・「赤ちょうちん」   作詞・喜多條忠 作詞・南こうせつ

 映画「赤ちょうちん」     1974年(昭和49年) 3月公開 (日活)

    脚本/中島丈博・桃井 章

    監督/藤田敏八

    出演者/高岡健二、秋吉久美子 他

 <概要>

 東京を舞台に、若くして結婚した新婚夫婦が、周りとの人間関係に馴染めず引っ越しを繰り返しながらも懸命に夫婦生活を送るという映画。

 

・「神田川」      作詞・喜多條忠 作詞・南こうせつ

 映画「神田川」        1974年(昭和49年) 4月公開 (東宝)

    原作/喜多條忠 (小説「神田川」)

    脚本/中西隆三

    監督/出目昌伸

    出演者/草刈正雄、関根恵子(現・高橋恵子) 他

 <概要>

 関根恵子、草刈正雄の主演で映画化された。作詞家・喜多條忠の自伝的小説「神田川」の映画化されたもので、大学の人形劇サークルに所属する上条真と、巡業先で出会った少女・池間みち子が同棲するというストーリー。

・「妹」       作詞・喜多條忠 作曲・南こうせつ

 映画「妹」          1974年(昭和49年) 8月公開 (日活)

    脚本/内田栄一

    監督/藤田敏八

    出演者/秋吉久美子、林隆三 他

 <概要>

 「赤ちょうちん」に続き、藤田敏八監督、秋吉久美子主演の2作目の映画。

 嫁ぎ先から突然帰ってきた妹と、その兄の近親相姦的な愛情を描いた作品。白けた表情はしているが、一方で何をするか分からない、という若き日の秋吉久美子の奔放なイメージを定着させた作品。

 

 映画制作会社が日活、東宝と異なるが、かぐや姫と喜多條忠のコンビで作られた歌をモチーフにした映画が、年間3本も制作されたのは異例のことではなかろうか。

 喜多條さんは生前、緑のインクで親しい人に「サヨナラの手紙」を書いたような気がする。(「メランコリー」より引用)

 

 昭和という時代が、次第に遠のいていくのを実感する訃報だった。

 歌だけではなく、映画の世界でも足跡を残した喜多條忠さんのご冥福をお祈り申し上げます。