野原や田の畔、小川のほとり、道端などのやや湿り気のある場所に咲くヤブカンゾウの花をよく見かけるようになった。
ヤブカンゾウ(藪萱草)
ワスレグサ科ワスレグサ属の多年草。日本には北海道から九州まで広く分布する。夏に花径を1mほど伸ばして、八重咲で橙赤色の花を咲かせる。
ちょっとごてごてした、くどい感じの花姿。
忘れ草 わが紐に付く 香具山の
古りにし里を 忘れむがため
大伴旅人が大宰帥として大宰府に在って、故郷への慕情を断ち切りたいとの心情で詠んだ歌。
万葉人たちは身に付ければ恋しさを忘れさせてくれる草として詠んでいる。
紐に付けるとは、いわば魂に結び付ける擬態だろう。
中国では、「忘憂草」すなわち「憂いを忘れさせる草」と呼ばれた。
~ 忘れたいのに 忘れられない
せつない恋よ~
そんな歌声が いまも流れる。
万葉人も現在人も 忘れたいのに 忘れられない 悩みからいまだに解放されないでいる。
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