夏目漱石の「草枕」には、『ぼけ(木瓜)は面白い花です。枝は頑固で、かって曲がったことがない。そんなら真直ぐかと云ふと、決して真直ぐでもない。只真直ぐな短い枝に真直ぐな枝が、ある角度で衝突して、斜めに構へつつ全体が出来上がって居る。そこへ、紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔らかい葉さへちらちらつける。評して見ると、

ぼけ(木瓜)は花の中で愚にして悟ったものであろう。世間には拙を守ると云ふ人がある。この人が来世に生まれ変わるとき、きっと、ぼけ(木瓜)になる。余もぼけ(木瓜)になりたい』と描かれている。

 

 

   木瓜咲くや 漱石拙を まもるべく  

 

 「拙を守る」とは、目先の利に走らず不器用でも愚直に生きることを意味する。これが漱石の目指すひとつの生き方だった。

 

 

 

 ボケ(木瓜)

 バラ科ボケ属の落葉樹。中国原産。三月ころから梅に似た五弁の花を咲かせる。

 果実が瓜に似ていることから「木瓜」の名がつけられ、その読み方「モケ」がなまって「ボケ」になったと云われる。

 

 

 

 

 

 

 花弁は少し丸みがあり、ふちが少し内側にまるまっている。一重のほか八重咲き、半八重咲きなどもある。

 同じ木に、赤や白、ピンクなどの花が咲く品種もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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