夏の野の 繁みに咲ける 姫百合の
知らえぬ恋は 苦しきものそ
大伴坂上郎女 巻8-1500
夏の野の繁みにひっそりと咲いている姫百合のように、ひとに知られぬように秘めた恋は、苦しいものです。
坂上郎女(さかのうえのいらつめ)は十数歳の若さで穂積皇子から愛され、その死後藤原麻呂の求婚を受けて歌を贈答しているが、わずかの間で別れ、老後の宿奈麻呂と結婚したが彼もほどなく没している。
生涯にはあまりにも愛の不幸が目立ちすぎるのだけれど、そんな彼女には不幸を打ち消すような恋のうたが多い。
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