長閑な田舎の道辺や垣根、町家の軒下などに隊列をなして咲いている姿を以前はよく見かけ、印象深い情景だったのだが、どうも最近は以前ほどの人気がなくなったのか、あまり見かけなくなって少し寂しい思いがする。
タチアオイ(立葵)
アオイ科タチアオイ属の多年草。地中海沿岸地方からアジアが原産地。そこから東アジアに伝播して、日本には中国から薬用植物として持ちこまれたのが始まり。
まっすぐに伸びる花姿からタチアオイ(立葵)の和名がある。2メートルくらいに伸びる長い茎に、花を穂状につける。梅雨入りの頃に花穂のしたから咲き始めて順々に咲き上がり、花が咲き終わるころに梅雨が明けるといわれている。花は一重咲から八重咲きまである。
タチアオイは一日花で、朝咲き始めて夜には閉じてしまう。
タチアオイの花の蕊は二段階で成長する。
朝、花が開くとソフトクリームのような雄蕊(上の写真)から花粉を出す。だが、雌蕊は見当たらない。
昼近くなると雄蕊の先端から雌蕊の柱頭が伸び始める(下の写真)。雄蕊が熟すると花粉を受け取る準備完了だ。雌蕊はまるでクモヒトデのようにも観える。
このように、先ず雄蕊が先行して熟し、その後に雌蕊が出てくる植物を、雄性先熟植物と云われる。
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