日本女性を象徴する言葉として「大和撫子」という言葉は使われてきた。その言葉には、日本女性の清らかな美しさ、奥ゆかしさ、そして芯の強さを表しているのだが、それを象徴する花がある。

 古くは万葉の時代から愛されてきた撫子だ。

 

 

 カワラナデシコ

 日本に自生する代表的なナデシコ、ヤマトナデシコとも呼ばれる。

カワラ(河原)と付くが、河原だけでなく山、川、野、浜、どこにでも咲く多年草。

 ヤマトナデシコと呼ばれるカワラナデシコは、花の先が細かく繊細だ。「撫子」の名前は本種が由来。古くから人々に愛されてきた。

 

 

 

 

 

 

 撫子、石竹、なでしこ、そしてナデシコ、どのように書いても何度読んでみても、日本人好みの愛らしい名前だ。

 その名前のせいだろうか、ナデシコの花はよく女性、それも日本的な女性にたとえられる。

 

 中国では早くからセキチクが園芸化された。日本へは平安時代に渡来した。

 

 枕草紙 第六十四段では、

 「草の花は、撫子。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」

 

 草の花は、なでしこ。唐なでしこは言うまでもない。大和のなでしこも、趣があってとてもすばらしい。と書かれている。この頃には中国から「石竹」とよばれる日本のものより花弁がやや丸っこく、色も華やかでどちらかと云えば可愛らしさが際立つナデシコが渡来していたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全国の山、川、野、浜、どこにでも咲く優しい撫子の類を、庶民の女性になぞらえてよろこびとしたことは故無きことではない。

 秋の七種にも登場し、ひときわ女性らしい姿で男心をくすぐるのが撫子の花だ。

 

 

 

 

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