スラッと伸びた細い茎に矢車のような花がとても美しい。特に鮮やかな青花が目をひく・・・・。
ヤグルマギク(矢車菊)
キク科ヤグルマギク属の一年草。ヨーロッパ南部原産。日本へは幕末の頃渡来。
ヤグルマソウと呼ばれていた時期もあったが、ユキノシタ科にヤグルマソウという名を持つ植物があり、混同を避けるために「ヤグルマギク」で統一された。
目に鮮やかな青がとても美しい。
花色は、白、ピンク、青、紫など、それぞれ鮮やかな色をしているが、自己主張の控えめな花だけに他の草花とも合わせやすい花と云えそうだ。
ヤグルマギクを見ると思い出す短歌がある。
函館の青柳町こそかなしけれ
友の恋歌
矢ぐるまの花
石川啄木
『歌意』
函館の青柳町に住んでいたころが懐かしい。友の恋歌をきいて楽しんだあのころの生活・・・家の周囲に咲く矢車の花の思い出とともに懐かしいよ・・・。
「かなしけれ」は”悲しい”という意味ではなく、懐かしいとか、いとしいという意味。
石川啄木が職を求めて郷里渋民村から未見の友人を頼りに海を越えて北海道函館に渡ったのは、明治40(1907)年5月だった。
啄木はその年の9月までこの函館青柳町で文芸同人らと文学を語り、恋を語り、人生を語り合った・・・。家の周りには矢車の花が咲いていただろう。
この歌を知ったのは、遠い昔 18歳の春。意味はよく分からぬままに強く印象に残った。啄木がこの歌を詠んだのは22歳。
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