子供や娘たちが花びらを揉んで爪を染めることから、「爪紅(つまくれない)」・・・鳳仙花には愛らしい別名がある。
鳳といい、仙といい、小さな一年草には大きすぎる名前のように思えるが、楊貴妃がこの花で爪を染めていたという話からすれば、諾うほかないか。
ホウセンカ(鳳仙花)
ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草。東南アジアからバングラディシュ、インドが原産地。日本へは平安時代(諸説あって定かではない。)に渡来したと云われる。
ホウセンカの異称で「つまべに」とも「染指草(せんしそう)」ともいわれる。
昔は、ホウセンカの花で爪を染めていた・・・今のマニキュアだ。その歴史は平安時代からと云われるから、爪のおしゃれの歴史もかなり古い。
ホウセンカは、中国を経て日本に渡って来たそうなので、楊貴妃もおなじ方法で染めていたのだろう。
ひらひらと波打つような花弁の美しさから、今は世界中で栽培されているという。
ホウセンカの花は
爪先に染めて
親の言うことは
こころに染めなさい
沖縄民謡「テインサグヌの花」より抜粋
沖縄の民謡では、親への愛が唄われ、朝鮮の「鳳仙花」の歌には、滅びてもまた花咲くべしと願う抵抗の精神がこもっている。
このささやかな花に託された人間としての大切な感情が胸をうつ。
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